早稲田大学らは、カカオの有効成分ココアフラバノールを高用量含んだサプリメントを摂取することで、認知疲労下の運動中の判断力が向上することを明らかにした。
早稲田大学は2025年7月3日、カカオの有効成分ココアフラバノールを高用量含むサプリメントを摂取することで、認知疲労下の運動中の判断力が向上することを明らかにしたと発表した。立命館大学との共同研究による成果だ。
サッカーやラグビーなどの競技では、運動による疲労に加え、長時間にわたる連続的な状況判断で脳の疲労も生じる。この認知疲労により、運動時の精神的疲労感が増し、運動中の判断力も低下する。
研究グループは、安静時の精神的疲労感を軽減する作用があるココアフラバノールに着目し、有酸素性運動前に摂取した高用量のフラバノールが認知機能を改善するかを調べた。
二重盲検法により、ココアフラバノールが入ったカプセルを摂取する条件を2つ設定し、無作為クロスオーバー試験を実施した。条件の1つは高用量(500mg)のカプセルを2錠、もう1つは低用量のカプセル2錠を摂取する。また、運動はサッカーを想定し、認知疲労は50分間かけて誘引するプロトコルを設定した。
カプセル摂取の1時間後、認知疲労下での運動中の判断力(速度と精度)や心拍数、血圧、血糖値などの血液バイオマーカー、精神的疲労感などの気分を評価したところ、高用量ココアフラバノールの摂取により、認知疲労下での有酸素性運動中の判断力が向上した。判断力以外の、精神的疲労感など他の測定値はココアフラバノールの影響を受けなかった。
今回の結果から、状況判断を要するスポーツの試合や練習の前に高用量ココアフラバノールを摂取することで、競技中の判断力が向上し、競技の勝敗に影響をもたらす可能性が示された。
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