矢野経済研究所が、国内のxR、360度動画市場の将来展望について発表した。2019年の同市場規模を事業者売上高ベースで3951億円と見込んでおり、2025年には1兆1952億円になると予測している。
矢野経済研究所は2020年1月6日、国内のxR、360度動画市場の将来展望について発表した。xRは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などをより広い概念で表現した総称となる。
同研究所は、2025年までの国内xR、360度動画市場規模予測において、2019年の市場規模を事業者売上高ベースで3951億円と見込んでいる。同市場には、スマートフォンを用いたARゲームの成功や、360度パノラマで撮影した作品を写真投稿サイト「Instagram」に投稿する動きが広がるなどの期待感がある。その一方でハード面、ソフト面での課題、ビジネスモデル構築の遅れなどが要因となり、市場拡大は緩やかなものとなっている。
2019年のカテゴリー別の見込値は、「ゲーム」475億円、スポーツやライブなどの「コンテンツ」84億円、「報道、広告、宣伝」75億円、「位置情報、旅行」110億円、「エンタープライズ」204億円、「医療、ヘルスケア」85億円、「教育、研修、トレーニング」44億円、「SNS」8億円、「制作、流通」173億円、「劇場、テーマパーク」44億円、「VR機器」2569億円となっている。
xR関連機器については、2018年に発売された、Oculusのスタンドアロン(自己完結)型HMD「OculusGo(オキュラスゴー)」が世界的にヒットした。OculusGoは、6DoF(3次元トラッキング)に対応した上位機種が2019年に発売されており、HMDの出荷台数は前年と比べて大きく増加する見通しだ。
また、高速、大容量通信を特徴とする5G(第5世代携帯電話サービス)が2020年から本格的に導入され、2022年以降にはエリアカバレッジなど5G環境の整備が進む。5Gの導入はコンテンツやサービスのクラウド化を促進し、メンテナンスやコンテンツ管理を効率化する。さらにはコンテンツの品質向上も期待できることから、5G導入は今後のxR、360度動画市場に大きな影響をもたらすとみられる。
同研究所では、2025年の同市場規模を、事業者売上高ベースで1兆1952億円になると予測している。
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