分解能1nmで膜厚を測定できる、キヤノンITSがハイパースペクトル画像事業に注力産業用画像技術(2/2 ページ)

» 2019年12月09日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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波長の干渉性を活用した厚み測定も可能

 LuxFluxの製品は、これに加えて、波長の干渉性を活用した半導体、フィルム、コーティングや塗布の厚み測定が可能だ。キヤノンITS エンジニアリングソリューション事業部 エンジニアリング技術第二本部 シニアアプリケーションスペシャリストの稲山一幸氏は「半導体ウエハー上に形成した薄膜の厚みを0.05%の分解能で計測できる。例えば半導体ウエハーの厚さが2000nm(2μm)とすれば、分解能は1nmになる」と強調する。

LuxFluxの製品は波長の干渉性を活用した厚み測定が可能 LuxFluxの製品は波長の干渉性を活用した厚み測定が可能(クリックで拡大) 出典:キヤノンITS
photophoto 薄膜厚みの測定事例。半導体ウエハーの厚みや(左)、500n〜900nmの波長を使って、電極部下層と上層、酸化膜、構造物の厚みを測定できる(右)(クリックで拡大) 出典:キヤノンITS
photophoto 薄膜厚みの測定事例。より長い波長(1200n〜1650nm)を使えば、厚めのシリコン膜の厚みも測定できる(左)。厚み全体に対して0.05%の分解能で計測できる(右)(クリックで拡大) 出典:キヤノンITS

 さらにLuxFluxの製品は、単にハイパースペクトル画像の処理を行うだけでなく、作成した画像処理モデルをハイパースペクトルカメラを用いたマシンビジョンシステムに組み込むためのランタイムも提供している。製品ラインアップは、ハイパースペクトル画像の処理と画像処理モデルの開発に用いる「fluxTrainer」、fluxTrainerにリニアステージ制御機能を追加した「fluxTrainer Pro」、fluxTrainerで開発した画像処理モデルをマシンビジョンシステムで動作させるランタイム「fluxRuntime」の3つ。全てオープンプライスだが、参考価格はfluxTrainerが113万円、fluxTrainer Proが170万円、fluxRuntimeが128万円。

LuxFluxの製品構成 LuxFluxの製品構成。開発用ツールの「fluxTrainer」、fluxTrainerで作成した学習モデルを実行するための「fluxRuntime」がある(クリックで拡大) 出典:キヤノンITS

 キヤノンITS エンジニアリングソリューション事業部 エンジニアリング技術第二本部 企画部 企画課 課長の福西秀次氏は「既存のSIパートナーの他、画像専門商社のチャネルを活用して拡販する。画像ビジネスに造詣の深い新SIパートナーも開拓していく。足元は、ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアのみの販売だが、ハイパースペクトルカメラなども手掛けることを検討しており、国内におけるHSI技術関連の市場創出に貢献したい」と意気込む。

 また、直近で期待できる産業分野としては「高精度な膜厚の制御が必要な半導体製造装置は、大きな効果が見込めるのではないか」(原木氏)としている。

左から、キヤノンITSの稲山一幸氏、原木裕氏、福西秀次氏 左から、キヤノンITSの稲山一幸氏、原木裕氏、福西秀次氏
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