パナソニックは2019年11月22日、各事業の状況を紹介する「Panasonic IR Day 2019」を開催。本稿ではその中から、パナソニック オートモーティブ社(AM社)の社長である楠見雄規氏の説明内容を紹介する。
パナソニックは2019年11月22日、各事業の状況を紹介する「Panasonic IR Day 2019」を開催。本稿ではその中から、パナソニック オートモーティブ社(AM社)の社長である楠見雄規氏の説明内容を紹介する。
パナソニックAM社は2019年4月1日に、もともとあったオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)が、車載と産業それぞれの用途向けで分社した形で誕生した。従来事業部からは、インフォテインメントシステムズ事業部、HMIシステムズ事業部、車載システムズ事業部、フィコサ・インターナショナル、三洋電機オートモーティブエナジー事業部が移管された(※)。
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パナソニックでは2019〜2021年度の中期戦略で事業を、高収益で将来有望な「基幹事業」、パナソニックブランドを生かしつつ地域や他社との連携を積極的に取り入れる「共創事業」、強みの生かせる顧客や製品に絞り込んで収益性の向上を目指す「再挑戦事業」の3つに分けて、それぞの環境に応じた取り組みを進めていく方針を示している(※)。
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その中でAM社の所属となる車載機器事業と、車載電池事業はどちらも再挑戦事業に位置付けられている。さらに2019年度の中間決算においても「欧州における充電インフラの開発増や北米における円筒形電池の生産性改善遅れなどがあり、業績見通しの下方修正を行った」(楠見氏)としており、まずは収益性の改善と事業方針の見直しが求められている状況である。
楠見氏は「車載機器事業は経営体質の強化と課題件名の悪影響を最小化することが必要となる。一方の車載電池事業は北米工場の生産安定化に注力する。自動化などを進め省人化によりさらなる生産性や収益性の向上に取り組む」と語っている。
パナソニックでは2012年度に「車載機器事業と車載電池事業を合計した車載事業で2兆円の売上高を目指す」と宣言。2018年度には約1兆9000億円と近いところまで到達できたという。ただ「事業規模の拡大や新規事業の創出という面では成果を残すこともできたが、管理能力を超えた拡大を目指す中で受注や件名管理、開発管理などが不十分となり、受注済みの案件によって損失を生むというような状況を生んでしまった」と楠見氏は課題について述べる。
さらに車載電池事業については、北米におけるテスラ(Tesla)向けの円筒形リチウムイオン電池工場である「ギガファクトリー」の生産性改善が遅れ、損益面で大きなマイナスを生み出し続けている。「顕在化した課題を早期に解決するのが再挑戦への第一歩だ」と楠見氏は危機感を強める。
こうした状況に対し、車載機器事業については2021年までに経営体質改革を行い、強みのある領域への選択と集中を行う。規模の適正化により事業の土台を築く方針である。さらにCASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)により自動車業界が大きく変化する中で、将来を見据えたパートナーシップの構築に取り組む方針である。
車載電池事業については、角形のリチウムイオン電池で2019年1月にトヨタ自動車(トヨタ)と合弁会社の設立を発表(※)。当時は合弁会社設立の検討を進めるという話だったが「2019年9月末までに各国の承認を得ることができた。2020年春に合弁会社を設立する」(楠見氏)。
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