パナソニック 社長の津賀一宏氏が、2019〜2021年度の中期戦略の考え方と、この半年間での取り組みの進捗について説明。津賀氏は「今中期戦略は低収益体質からの脱却が目標。これを実現した上で、より長期の目標として、2030年に向けて『くらし』で役に立つ、くらしアップデートの会社を目指す」と強調した。
パナソニックは2019年11月22日、東京都内で会見を開き、同社 社長の津賀一宏氏が2019〜2021年度の中期戦略の考え方と、この半年間での取り組みの進捗について説明した。津賀氏は「今中期戦略は低収益体質からの脱却が目標。これを実現した上で、より長期の目標として、2030年に向けて『くらし』で役に立つ、くらしアップデートの会社を目指す」と強調した。
中期戦略では、さまざまなパナソニックの事業について方向性や資本・ブランドの考え方を抜本的に見直し、高収益で将来有望な「基幹事業」、現行のパナソニックブランドを生かしつつ地域や他社との連携を積極的に取り入れる「共創事業」、強みの生かせる顧客や製品に絞り込んで収益性の向上を目指す「再挑戦事業」の3つに分けた。「これまでは、既存事業の上に高収益化を見込む事業をかぶせる形で中期戦略を組み立てていた。しかし、既存事業はもはや既存のまま残せない。2018年度の創業100周年を機に、既存事業を含めて大きく変えていくことを決めた」(津賀氏)という。
基幹事業の「空間ソリューション」「現場プロセス」「インダストリアルソリューション」は、中長期視点で単品販売からソリューション型ビジネスモデルに軸足をシフトさせる。例えば、空間ソリューションであれば、これまで家庭に向けて提供してきた健康や快適といった価値を、オフィスや街、公共向けに展開していく。強い商材としてはライフソリューションズ(LS)社の電材になるが、そこにアプライアンス(AP)社の空調やコネクティッドソリューションズ(CNS)社の映像を組み合わせ、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)で最適化する「空間価値創造」の提供を目指す。
現場プロセスでも、実装機やモノづくりのノウハウをベースにAIやデータ分析で製造プロセスをスマート化する「ファインプロセス」を進めながら、小売りや物流などの異なる現場にもソリューションを「サプライチェーン」として展開していく。インダストリアルソリューションでは、高シェアの「デバイス」を中核とすて、モジュールやパッケージ化した「システム」を顧客密着で提案していく。
これらを、成長をけん引する基幹事業とする上でKPI(重要業績評価指標)となったのが、営業キャッシュフローと連動するEBITDA(償却前営業利益)である。全社のEBITDAの約7割を基幹事業が稼ぎ出しており、この稼ぎを原資として共創事業や再挑戦事業の成長につなげていくことになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.