この記事は、2019年11月22日発行の「FA メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
2019年12月18日から東京ビッグサイトで開催される「2019国際ロボット展(iREX2019)」の開催概要が発表されました(※)。日本政府がロボット新戦略を推進する中で前回に続いて今回も過去最大の出展社数と出展小間数となるなど規模を拡大しており「ロボット」への期待を感じさせてくれました。
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今回の国際ロボット展のテーマは「ロボットがつなぐ人に優しい社会」で、2019年国際ロボット展 運営委員長の小笠原浩氏(安川電機代表取締役社長)は「ロボットが人の仕事を奪うという話がよく出るが、そういうものではなく、ロボットは人に近い位置で共存していくものというのをメッセージとして打ち出したかった」と語っています。そういう意味では、人と共に働く「協働ロボット」が今回のロボット展でも大きな位置付けを占めるといえそうです。
さて「協働ロボット」が注目を集めるようになって既に数年がたっています。その間、徐々に普及が広がってきており、実際に工場などでも使いこなしているところが増えてきました。取材させていただいたOKIの富岡工場などは非常にうまく協働ロボットを使いこなしていました(※)。
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こうした動きを踏まえて「いよいよ普及期に入った」と一部のメーカーからも声が聞こえてきますが、本当にそうでしょうか。
- 人作業をロボットとITで徹底支援、正味作業時間83%減を実現したOKI富岡工場
多品種少量生産と自動化をどう両立させるのか――。国内に工場を構える多くの製造業にとって大きなテーマである。特に多品種少量生産を実現する人作業の効率化については、人手不足も重なり喫緊の課題となっている。こうした中で独自のシステム開発などにより低コストで次々と人作業を支援するシステムを現場に導入し効果を生み出す工場がある。OKIの富岡工場である。同工場の人作業支援への取り組みを紹介する。
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- 協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
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- 機械は人の仕事を奪わない、“人とロボットがともに働く現場”が拡大へ
2016年は人工知能関連技術が大きな注目を集めて「機械が人間の仕事を奪う」という議論が大いに盛り上がりを見せた。こうした一方で2017年には「現場」において、こうした動きと逆行するように見える「人とロボットが協力して働く世界」が始まりを迎える。
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日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。
- 製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。
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