パナソニックは2019年8月30日、事業活動で使用する電力全てを再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟したと発表した。2050年までにグローバルで使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替える方針だ。
パナソニックは2019年8月30日、事業活動で使用する電力全てを再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟したと発表した。日系製造業では、RE100にリコー、富士フイルム、富士通、コニカミノルタ、ソニーが加盟している。パナソニックは2050年までに、グローバルで消費する電力を100%再生可能エネルギーに切り替える方針だ。
パナソニックは2017年6月に環境経営の長期ビジョン「パナソニック環境ビジョン2050」を策定している。同ビジョンでは、同社製品とサービスや同社の事業運営で消費するエネルギーを削減するとともに、それを超えるクリーンなエネルギーの創出、活用を進めると掲げる。「現在は使うエネルギーが10に対して、創るエネルギーが1の割合。非常に挑戦的なビジョンだが、全社を挙げて取り組んでいる」(パナソニック 品質・環境本部 環境経営推進部 部長 清水信明氏)
2016〜2018年度の環境行動計画「グリーンプラン2018」では、製品やサービスによるCO2削減貢献量が2005年比で6913万トンにもおよび、同社工場から排出されるCO2も2013年度比で原単位14%を削減するなど、「主要な数値目標はほぼ達成した」(清水氏)とする。
省エネ機器の開発推進や、工場へのスマートEMS(エネルギーマネジメントシステム)導入、そして地道な省エネ活動の推進が功を奏したとする。再生可能エネルギーも2.5万MWhを導入し、グローバルでは日本を含む3拠点で「CO2ゼロ工場」を達成した。2018年度における環境経営への投資総額は、環境に関わる研究開発費を含めると約120億円。同年度における顧客経済効果は、削減電力量が776億kWh、電気代に換算すると1兆6219億円だったという。
2019〜2021年度の環境行動計画「グリーンプラン2021」では、同社製品とサービスや同社事業運営で消費するエネルギーに対して、創るエネルギーの総量の比率を8.5対1にすることを大目標とする。グローバル各地域でCO2ゼロ工場を1つ以上実現することを目指す。自社拠点への再生可能エネルギー導入量は4万MWhを目標とする。工場構内に水素ステーションを設け、燃料電池フォークリフトの活用によって構内物流のCO2ゼロ化にも着手する。
また、「サーキュラーエコノミー」の取り組みを強化する。省エネ性能が低い老朽化した設備を使用し続ける顧客への提案として、比較的新しく省エネ性能が高い中古設備を同社が点検整備し、再生品として販売するリファービッシュスキームの提供を検討する。パナソニック産機システムが冷凍冷蔵設備を同スキームで提供する取り組みを始めたという。
現在、パナソニックが事業運営で使うエネルギーの総量は4.1万テラジュールで、電気は35.7億kWhを消費している。このうち、再生可能エネルギーの比率は現時点で1%以下であるという。「RE100」の実現には高いハードルが待ち受けるが、「グローバルの顧客からは、再生可能エネルギーで稼働する工場を希望する声が大きくなっている」(清水氏)。CO2排出ゼロを目指すモノづくりが、今後の事業成長で大きな役割を果たしそうだ。
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