特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

パナソニックがソフト開発体制強化へ「製品を常にアップデート可能にする」組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

パナソニックがイノベーション戦略について説明。同社 専務執行役員の宮部義幸氏は「当社が新たに打ち出した『くらしアップデート』の実現に向けて、ソフトウェア起点のビジネスモデル変革に挑戦する」と述べ、クラウドと連携して機能を常にアップデートできるような製品を実現できるソフトウェア開発体制の構築を急ぐ方針である。

» 2019年05月21日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
パナソニックの宮部義幸氏 パナソニックの宮部義幸氏(2019年1月開催の「MONOist IoT Forum in 大阪」で撮影)

 パナソニックは2019年5月20日、本社(大阪府門真市)内で会見を開き、同社のイノベーション戦略について説明した。同社のイノベーション推進部門を統括する専務執行役員でCTO、CMO、CPO、CIOの宮部義幸氏は「当社が新たに打ち出した『くらしアップデート』の実現に向けて、ソフトウェア起点のビジネスモデル変革に挑戦する」と述べ、クラウドと連携して機能を常にアップデートできるような製品を実現できるソフトウェア開発体制の構築を急ぐ方針である。早ければ2020年度にも、常にアップデート可能なソフトウェア基盤に基づく製品を投入したい考え。

 宮部氏は、日本政府が推進する超スマート社会「Society 5.0」のコンセプトを基に、創業から102年目を迎えたパナソニックが工業社会「Society 3.0」で成功を遂げた企業である一方で、インテルやIBM、マイクロソフトなどが躍進した情報社会「Society 4.0」では限定的な成長しかできなかったことを指摘した。

工業社会「Society 3.0」から超スマート社会「Society 5.0」へ 工業社会「Society 3.0」から超スマート社会「Society 5.0」へ(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 パナソニックが成長してきたSociety 3.0は、大量生産と大量販売により、顧客それぞれのことが分からない「不特定多数型ビジネスモデル」だった。これに対してSociety 5.0は、IoT(モノのインターネット)によって一人一人の状態が分かる「特定多数型ビジネスモデル」になっていく。「Society 4.0のタイミングで製品はデジタル化できたが、プロセスはデジタル化できなかった。Society 5.0で成長するには、このプロセスを重視しフレキシブルな体制に変わらなければならない。しかし、既に大企業となっているパナソニック全体をいきなり変えることは難しい。そこで、創業当時のパナソニックや現在のスタートアップ企業と同じように、コンパクト(小さな)、コンプリート(完結した)、コンストレインフリー(しがらみがない)な組織を新たに作って、プロセスのデジタル化を進めることとした」(宮部氏)という。

「Society 5.0」に向けプロセスのデジタル化を進めるための組織を立ち上げ 「Society 5.0」に向けプロセスのデジタル化を進めるための組織を立ち上げ(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 宮部氏が「ゼロからのリスタート『第2の創業』」と呼ぶこの取り組みから発足したのが「Panasonic β」である。全社横断で人材が集結するPanasonic βは、暮らし統合プラットフォーム「HomeX」※)の開発に取り組んでおり、現在は50〜80人(固定メンバー20数人+定期的入れ替わりで数十人)の組織になっている。

※)関連記事:パナソニック「HomeX」が示す、これからの製造業が生きる道

「Panasonic β」の組織体制 「Panasonic β」の組織体制(クリックで拡大) 出典:パナソニック
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