HomeXは、くらしアップデートの実現を具体化したものといえるが、今後はパナソニックのビジネスモデル全体もHomeXと同様にソフトウェア起点に変えていくコトになる。宮部氏は、新たなソフトウェア開発体制を構築することで、従来のハードウェア起点の個別最適開発から、アップデートされるくらしの統合価値を意識したソフトウェア起点のビジネスモデルに変えていきたいとする。
宮部氏は「研究開発の成果を製品に反映する場合、従来のハードウェア起点のやり方では早くて翌年、一般的には2年後以降になっていた。しかし、これをソフトウェア起点にすれば、研究開発成果を翌年どころかすぐに反映できる可能性が出てくる。もちろん、既に販売している製品の機能をアップデートすることも容易に行える」と説明する。
しかし、パナソニックの従来型のソフトウェア開発体制は、開発する機器それぞれに最適な組み込みソフトウェアを用意するというものだった。同社のエアコンや洗濯機などは既にネット接続が可能だが「これらの機能はうわっ面でしかなく、深くつなげていくことはできない。そのために、パナソニックの製品における決めごとなどを共通化する必要がある」(宮部氏)。
なお、常にアップデート可能な製品を実現する上でデータを集約するクラウドの整備は必須だ。宮部氏は「これまでにクラウドの整備は先行して進めてきた。既に20以上の事業部、100カ国以上がつながっている。データが集まることで、さらに大きな価値を生むという理解は進んでおり、毎月のデータ量も前年比400%などの勢いで増えている。このクラウドとつながって価値を発揮するアップデート対応機器を開発できるようにすることが、新たなソフトウェア開発体制構築の目的だ」と強調する。
また、機能アップデートの対象として、ソフトウェアだけでなくハードウェアも視野に入る事例として炊飯器を挙げた。「炊飯器の内窯でより良いものができたら、それを従来品の内窯と交換できるようにすることなどが考えられる。ただし、まずはソフトウェアによるアップデートが必要だと考えており、ハードウェアのアップデートはそれを実現してからになるだろう」(宮部氏)としている。
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