本連載では米国やカナダ、欧州、オーストラリアなど各国と地域のデジタルヘルスを取り上げてきたが、世界レベルの取り組みも本格化している。その推進役となっているのがWHO(世界保健機関)だ。
本連載第27回の米国、第30回のエストニア、第31回のオーストラリア、第32回の北欧・バルト諸国、第46回のカナダなど、各国と地域のデジタルヘルスを取り上げてきたが、世界レベルの取り組みも本格化している。
2018年5月26日、世界保健機関(WHO)の第71回総会で、「デジタルヘルス決議」が採択された(関連情報、PDF)。その内容は以下の通りである。
われわれはWHOに対し、SDGs(Sustainable Development Goals:国際連合が定めた2030年までの持続可能な開発目標)の目標3、とりわけNCD(非感染症)に関するターゲット3.4の達成に向けた国および地域における部門間政策の経験のレビューを迅速に進め、NCDの予防とコントロールのための多部門的措置および複数ステークホルダーによる措置に関する指針を更新し、WHOのGCM/NCD(NCD予防とコントロールのためのグローバル協力機構)の実践コミュニティーを通じ、国レベルでの措置を支援する形で知識とベストプラクティスを広めるよう求める。
WHOは、2005年の「eヘルス決議」(関連情報)、2013年の「eヘルス標準規格化・相互運用性決議」(関連情報、PDF)を踏襲し、健康関連SDGsを前進させる技術として、デジタルヘルスを位置付けている。
翌2019年3月26日、WHOは、「2020-2024年グローバルデジタルヘルス戦略」草案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した(関連情報、PDF)。WHOは、「適切なデジタルヘルスの採択を加速させることによって、誰でもどこでも受けられる保健医療を向上させる」ことを戦略のビジョンとしており、その概念には、以下のようなものが含まれる。
本草案では、グローバルデジタルヘルスの戦略目標として以下の4項目を掲げている。
これらの目標を達成する行動のためのフレームワークとして、以下の4項目を掲げている。
なお、デジタルヘルスを支える情報通信技術(ICT)については、WHOとITU(国際電気通信連合)が2012年に共同で策定した「国家eヘルス戦略ツールキット」(関連情報)がベースになっている。
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