その後2019年4月17日、WHOは「WHOガイドライン−保健医療システム強化のためのデジタル介入に関する推奨事項」と題するガイドラインを公表した(関連情報)。同ガイドラインは、利益、不利益、許容性、実現可能性、リソース利用、公平性の考慮事項に関する評価に基づいて保健医療の向上に寄与するような、新たなデジタルヘルス介入に関わるエビデンスの重要な評価に準拠した推奨事項を提示することを目的としている。
WHOは、デジタルヘルス介入(Digital Health Interventions)について、「保健医療の目的達成のために適用されるデジタル技術の個別機能で、デジタルヘルスアプリケーションやICTシステム(テキストメッセージのような通信チャネルを含む)内に展開される」と定義している。
図1は、保健医療システムの課題を克服するためにデジタルヘルス介入を行うプロセスを例示したものである。既知の保健医療の効能だけでは課題解決が困難な場合に、デジタル技術を利用した介入によって、品質やカバレッジを上げていくことが、デジタルヘルスの役割とされている。
次に図2は、保健医療システムが直面する課題例を示している。WHOは、さまざまな社会課題を、「情報」「可用性」「品質」「受容性」「利用」「効率性」「費用」「責任」の8項目に分類、整理している。
図3は、デジタルヘルス介入が、ICTシステムの導入、展開を通して、図2で示された保健医療システムの課題解決に取り組む例を示したものである。例えば、必要物資の供給が不十分であるという課題に対して、ロジスティクス管理情報システムを利用しながら、「保健医療物資の在庫・配送管理」「保健医療物資の在庫通知」といったデジタルヘルスの介入を行う例などが示されている。
そして図4は、デジタルヘルス介入のためのコンポーネントを示しており、(i)保健医療領域および関連するコンテンツ、(ii)デジタルヘルス介入そのもの、(iii)デジタルヘルス介入を提供するためのハードウェア、ソフトウェアおよびコミュニケーションチャネル、(iv)ICTおよび可能にする環境の基盤層(リーダーシップ&ガバナンス、戦略&投資、サービス&アプリケーション、標準規格&相互運用性、インフラストラクチャ、法規制・ポリシー&コンプライアンス、労働力)から構成される。
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