浜松ホトニクスは、レーザー媒質を効率よく冷却する技術を確立した。これを活用し、半導体レーザー励起では世界最高クラスの117ジュールのパルスエネルギーを出力する産業用パルスレーザー装置を開発した。
浜松ホトニクスは2019年4月18日、レーザー媒質を効率よく冷却する技術を確立し、半導体レーザー(LD)励起では世界最高クラスの117ジュール(J)のパルスエネルギーを出力する産業用パルスレーザー装置を開発したと発表した。
同装置は、同社製の励起用LDモジュールを4台搭載した増幅器2台により、5Jの種光のパルスエネルギーを117Jまで増幅する。今回、新たに開発したレーザー増幅チャンバーを採用し、チャンバー内のレーザー媒質を冷却する技術を確立した。
チャンバー内に−100℃で5気圧のヘリウムガスを安定的に循環させ、媒質の両面を冷やす機構を取り入れることで、冷却効率を向上させた。同時に、レーザーが通過する光学窓に低温高圧に耐える材料を採用し、耐久性を高めた。
また、光を蓄えやすい円盤型の大口径セラミックスをレーザー媒質として6枚組み込み、従来装置よりも多くのエネルギーを効率よく蓄積できるようにした。
小型で高出力の同社製励起用LDモジュールを搭載し、設計を工夫した増幅器を構築することで小型化に成功した。この結果、海外で開発が進められているLD励起のパルスレーザー装置と同等の占有サイズで、世界最高クラスの出力を可能にした。
同装置により、航空機や自動車の金属材料を硬くするレーザーピーニングの効果の向上を見込む。また、TACMIコンソーシアムと連携し加工プラットフォームとして運用することで、金属材料を成形加工するレーザーフォーミングや塗装剥離など、新たなレーザー加工の実用化が期待できるとしている。
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