では、“正しい形(幾何)”とは何によって示されるのでしょうか。前回と同様に「日本工業標準調査会(JISC)」のWebサイトで検索してみましょう。
「幾何公差」で検索してみると、181件ヒットしました。今回はその中から「JIS B0021:1998(ISO/DIS1101:1996)製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状、姿勢、位置及び振れの公差表示方式」を確認します。それぞれの定義については以下の通りで、「JIS B0621-1984幾何偏差の定義及び表示」から確認できます。
(以下、JIS規格より抜粋)
[形状公差]
形状を決める幾何公差
[姿勢公差]
ある基準に対してその形体のあるべき姿勢を決定する幾何公差
[位置公差]
ある基準に対してその形体のあるべき位置(真位置)を決定する幾何公差
[振れ公差]
ある直線を回転軸にして対象物を回転させた場合の対象物の形体の振れの変動値を規制する幾何公差
幾何公差の詳細は別途解説しますが、総じていえることは、幾何公差とはその形状の「“壊れ方”のようなもの」を示すものであり、2点間の距離を測って分かるような寸法とは異なります。幾何公差は、一般的な設計者であれば、ほぼ日常的に使用しているものですが、これを機にその定義を再確認してみるといいでしょう。新入社員から「幾何公差」について説明を求められた際、正しく説明できるでしょうか?
幾何公差には、単独でその形状自体を指定(指示)するものもあれば、指定箇所との関連を指示するものもあります。
このように単独形体としては、平面度、真円度といった「形状公差」があり、関連形体としては、平行度、直角度、円周振れといった「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」があります。これらを別の言い方で表現すると、
となります。
以上、幾何公差の“目的”とは何か? について説明しましたが、サイズ公差の解説までできませんでした。また、データムについても触れる必要がありますね。これらについては、次回以降で解説していきます。お楽しみに! (次回に続く)
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