定型的なワークフローをグラフィカルに記述可能なツール「ThingWorx Flow」が利用可能になった。ThingWorx Flowはブラウザ上で動作し、PTCが提供するPLM(製品 ライフサイクル管理)「Windchill」やマイクロソフトのOffice 365などのサービスと連携できるコネクターが用意されており、ユーザーはこれらコネクターをドラッグ&ドロップすることでワークフローを作成することができる。
IoTデバイスと連携するグラフィカルWebアプリケーションの開発ツール「ThingWorx Mashup Builder」が強化された。IoTデバイスを利用するうえでWebアプリケーションのデザインや使い勝手は製品差別化のポイントとなるが、「今までのThingWorxでは、Webアプリケーションのデザインに手を掛けることが難しかった」(山田氏)。今回の機能強化では「より簡単にキレイなデザインが作れるようにした」とする。
その一例として、山田氏は今回の機能強化でベータ版として追加された「テーマ機能」を挙げた。テーマ機能は、それぞれの会社が掲げるコーポレートカラーなどをカラースキームのテンプレートとすることができ、Webアプリケーションのウィジェットがテンプレートを用いることで容易に作成できる。
続けて、山田氏はVuforiaの新機能と顧客事例を紹介した。ARとビデオチャットを統合させた遠隔支援アプリケーション「Vuforia Chalk」は「ものすごく売れている」(山田氏)とし、遠隔から現場に対して作業指示を出せる効率性、そして若手技能者でも熟練技能者の経験が簡単に共有できる安全性といった面が顧客から好評だと山田氏は説明する。
定型作業のARによる支援を目的としたARコンテンツビュワー「Vuforia View」との連携機能の追加も2019年春以降に予定している。同機能によりVuforia ViewとChalkのアプリケーション切り替えが必要なくなるため、ユーザーは定型作業中に突発作業が発生した場合でもARによる遠隔支援がシームレスに受けられるようになる。Chalkの録画機能も「数カ月後に提供予定」としている。
また、山田氏は「Matterport」と「Waypoint」をAR領域で今後追加される機能として紹介した。MatterportはCADデータがない建物でもARを利用した設備配置計画を提供する機能で、3Dカメラで撮影された建物内部の点群データからARモデルをMatterportが自動で生成する。WaypointはARヘッドセットを装着した作業者の動作を音声や動画、位置情報といった形式で記録し、作業手順書の作成や熟練技能者の技能継承を支援するアプリケーションとなる。
山田氏は「ARの投資対効果がはっきりしないという声が以前にあったが、現在では顧客から投資対効果を報告する声が上がってきた」と語り、複数の顧客事例を紹介した。ボーイングでは飛行機の翼を組み立てるシミュレーションを物理的な手法からARを用いた手法に変更することでシミュレーション時間の30%短縮を実現した。また、BAEシステムズでは組み立て作業者に対するトレーニングにARを利用することでトレーニング時間が半減したとし、「日本の顧客からも多く問い合わせを得ている事例」となったという。
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