仮想化しても車両制御向けのリアルタイム性を確保、ハードウェアで処理時間短縮 : 車載半導体 (2/2 ページ)
ASIL Dを満たす機能安全を実現するには、動作中のマイコンに対する自己故障診断が必要になる。今回、ルネサスはCPUの処理時間に影響を与えずに自己故障診断を実現するため、CPUのスタンバイ状態から復帰する期間に故障診断を実行する「スタンバイーレジューム自己故障診断機能(SR-BIST)」を開発した。電源がオンの状態でCPUが実行とスタンバイ状態を繰り返すユースケースにおいて、チップがスタンバイ状態から復帰するたびに、CPU動作前に故障診断を実行できる。
従来は、スタンバイ状態から復帰するまでの期間は外部クロックの発振が安定しておらず、電流変動に制限があった。そのまま故障診断動作を行うと、電流変動率が増大し、電源の許容範囲を超えてしまう。ルネサスは、外部クロックよりも立ち上がりの早いオンチップオシレーターの診断クロックを故障診断に使用することで、電流変動率を抑えながら自己故障診断を実現した。オンチップオシレーターからのクロックの周波数をN/M分周器で段階的に増加させることにより、電流変動率の増加を従来の6分の1に抑えてSR-BISTを実行できるようにした。
スタンバイ状態から復帰するまでの間に自己故障診断を行う(クリックして拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
テストチップには通信インタフェースとして、電気的ノイズ耐性に優れたSGMII(Serial Gigabit Media Independent Interface)規格に対応したギガビットイーサネットを搭載している。5Vのトランジスタを使用した点が特徴となる。
民生用機器などの電子回路の電圧は3.3Vであることが多いが、車載用マイコンのインタフェース回路はサージ電圧に対する信頼性を確保するため5Vのトランジスタが使用されている。車載用マイコンでは今後も引き続き5Vのトランジスタが使用されるため、これに対応したギガビットイーサネットのインタフェースを開発した。5Vのトランジスタを使用した場合、信号帯域が悪化するのが課題だったが、送受信にそれぞれ専用回路を追加することで、SGMII規格に準拠する信号品質を実現した。
5Vのトランジスタでギガビットイーサネットを実現(クリックして拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
「世界初」で「世界最高性能」、ルネサスが28nm車載マイコンをサンプル出荷
ルネサス エレクトロニクスは、28nmプロセスを採用したフラッシュメモリ内蔵車載マイコン「RH850/E2xシリーズ」のサンプル出荷を開始した。28nmプロセス採用のフラッシュメモリ内蔵マイコンのサンプル出荷は「世界初」(ルネサス)、フラッシュメモリ内蔵車載マイコンの処理性能としても「世界最高」(同社)だという。
完全自動運転を量産するカギは「SoCの仮想化」、Armが数週間以内に新製品
Armの日本法人アームは2018年12月6日、ユーザーイベント「Arm Tech Symposia 2018 Japan」の開催に合わせて記者説明会を開き、自動運転分野での取り組みを説明した。Armでオートモーティブソリューション&プラットフォームディレクターを務めるロバート・デイ(Robert Day)氏は、レベル4以上の自動運転車でシステムを、現実的なコストと消費電力で実装することと、安全性の向上に注力していくと述べた。
制御系ECUの統合に向けた軽量仮想化ソリューション、オーバスが披露
デンソー子会社のオーバスは、「オートモーティブ ワールド2019」において、軽量の仮想化ソリューション「AUBIST Hypervisor Lite」を参考展示した。2019年度内に評価版の提供を始める予定だ。
複数のHMIが協調するコックピットの実現へ、仮想化が貢献
コックピットの進化に向けて、ハイパーバイザーを用いた仮想化により複数のHMIを統合制御するデモンストレーションを各社が「CES 2018」で披露した。
デンソーとBlackBerryとIntelが世界初の「統合HMIプラットフォーム」を開発
デンソーとBlackBerryは、カーナビゲーションシステムやメーター表示などを行うデジタルクラスタ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)といったHMI製品を統合的に管理できる「統合HMIプラットフォーム」を共同開発した。Intelも開発に協力している。2019年以降、車両に搭載される予定。
車載ネットワークの伝送速度は光通信で10Gbpsへ、高速化とEMCを両立
TE Connectivityの日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパンは2018年5月22日、アダマンド並木精密宝石と共同で、伝送速度10Gbpsの車載ネットワークを実現できるデータリンクシステムを開発すると発表した。現行の車載ネットワークは最高伝送速度が1Gbpsの仕様が策定されているが「10Gbpsは世界初の取り組みになる」(両社)という。
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