工場の「つながる化」を可能とする「管理シェル」とは何かインダストリー4.0(3/4 ページ)

» 2018年10月01日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

インダストリー4.0コンポーネント間の通信

 インダストリー4.0コンポーネント間のやりとりの例として、属性や条件などに応じた「交渉」がある。製造工程間でのインダストリー4.0コンポーネントで製造工程についての質問が発生した場合、その質問は複数の質問に分解され、管理シェルの個々のサブモデルを通じて回答することになる。この個々のサブモデルに向けて「確認」や「要請」などが用いられる。

photo 管理シェル内のサブモデルに向けた通信のイメージ(クリックで拡大)出典:ドイツ電機電子工業連盟(ZVEI)

管理シェルの置き場所

 管理シェルはオートメーション機器内に置く場合もあれば、クラウド環境内に置く場合もある。アセットそのものの在り方が多様であるため、その置き場所もそれぞれに最適な場所に設置する必要がある。例えば、ネジなどの場合は静的情報源としてファイルで置くケースもある。フィールド機器にそのまま搭載する場合や、複数の機器と接続するゲートウェイ上に設置する場合もある。さらにネットワーク接続が前提となるがクラウド上に置くケースなども想定されている。

 ドイツでインダストリー4.0におけるスマートファクトリーの実証や研究を行うSmartFactoryKLではこの管理シェルの置き場所について「概念的には、管理シェルを制御レベルとその上にあるIT系の層の間に置き、オートメーション技術とITシステムのゲートウェイを形成すべきである」としている。

photo SmartFactoryKLによるインダストリー4.0モデル工場における計測モジュールの管理シェルの実現例(クリックで拡大)出典:SmartFactoryKL

 SmartFactoryKLでは、計測モジュール内の情報を、時間が経過しても変わらない「静的データ」、状況監視や予知保全に必要な動的な「状況データ/ログ」「プラグ&プロデュースのデータ」に分けて記録したという。

photo SmartFactoryKLによるインダストリー4.0モデル工場における計測モジュールの管理シェルの例(クリックで拡大)出典:SmartFactoryKL

管理シェルの活用イメージ

 プラットフォームインダストリー4.0では2018年8月に「管理シェルの詳細」を発表しているが、その中で管理シェルのユースケースが紹介されている。

photo 管理シェルのユースケースのイメージ(クリックで拡大)出典:プラットフォームインダストリー4.0の資料を基にRRIが作成

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