ロボットの普及がさまざまな業界に広がる中で、その普及の障害になっているのが、導入におけるインテグレーションの負担やエンジニアリング能力の問題である。現実的にロボットインテグレーターが普及のボトルネックになる現実がある中、メーカーとしてはどのように対応するのだろうか※)。
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富田氏は「日本ロボット工業会などでもこの問題に取り組んでいるが、1メーカーとしてはまずロボットを使ってもらう場所を拡充するということが直近の取り組みとしてある。本社のロボット村もそうだが、ロボットセンターを世界各地に拡充中だ。現在世界37カ所に展開しており、少しでもロボットで問題解決をするハードルを下げていく」と語る。
さらに、これらのインテグレーションの負担を少しでも軽減するようにロボット単体としての機能を強化する取り組みも進めている。「普及の最大の課題はエンジニアリングの面だと考えている。そのため、インテグレーター労力をできるだけ低減するシンプル化は必須だと考えており、さまざまな技術開発を進めている」と富田氏は述べる。
例えば、人協働ロボットではロボットアームを直接手で自由に操作し任意の動作を教示できる「ダイレクトティーチング機能」を備えた他、タブレットでのインタフェースで簡単に動作を選択するだけでティーチングができる「スマートペンダント」などにも対応している。
今後の取り組みとしては「ティーチングなどを簡単にするという意味では、やはりAIには期待している。AI機能をロボットにも積極的に採用する。既にピッキング用のビジョンセンサーと画像認識などでは国際ロボット展でデモを披露したが、さまざまな方向性で活用できると考えている」と富田氏は期待を寄せる。
ロボット市場は需要の高まりから、世界各地で新たな企業の参入が進んでおり、特に中国では「中国製造2025」などの国策も含め、積極的な取り組みが目立つ。これらの競合関係については「中国メーカーは力のある企業も増えてきており、将来的には必ず世界的なロボットメーカーが生まれると見ている」(富田氏)は危機感を募らせる。
ただ、その中でも「競い合うのではなく、ロボット市場をともに広げるパートナーとして見ていくべきだと考えている。まだまだ自動化という領域で既存のロボットメーカーが満たせていない領域も多く、新規企業が増えることで、これらを満たせる可能性がある。さらに、安川電機はロボットのキーコンポーネントを保有していることもあり、これらのコンポーネントで考えれば大きな顧客企業になる可能性もある。うまく協力し合える関係を構築する」と富田氏は考えを述べている。
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