中部電力は、薄板CFRPを約12秒で加熱できる急速加熱装置「CF-1」を開発した。薄板CFRPの赤外線吸収特性を分析し、最も効率よく熱を吸収する赤外線波長を出力できる高出力カーボンヒーターを採用している。
中部電力は2018年7月3日、薄板CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)を約12秒で加熱できる急速加熱装置「CF-1」を発売した。メトロ電気工業、佐藤鉄工所との共同開発によるもので、佐藤鉄工所が販売する。
薄板CFRPは、重量が鉄の4分の1ながら2.5倍の強度を持ち、産業分野での利用が進んでいる。その加工には、主に赤外線式加熱装置が使用されるが、同装置では厚さ1〜2mm程度の薄板CFRPのプレス成形に約60秒の加熱を必要としていた。
今回3社は、CF-1の開発に際して薄板CFRPの赤外線吸収特性を分析したところ、最も効率よく熱を吸収する赤外線波長を発見。その波長を出力できる、高出力カーボンヒーターを開発した。これを装置に採用したことで、加熱時間を約12秒に短縮した。
また、急速過熱で発生するCFRP内部のボイド(空隙)を抑制する加熱制御方法を開発し、高品質な加熱成形に対応した。さらに起動後、約1秒でヒーターが所定の出力に達するため、待機時間が不要になった。
発熱部の長さは最大2000mmで、幅はユーザーの要望に応じる。薄板CFRPを赤外線で効率的に加熱可能になるため、薄板CFRPを使用する小型製品の大量生産などに有効だとしている。
CFRPは「扱いが難しいナマモノ」、量販モデルでの採用はトヨタも苦戦
CFRPの知財マップ/炭素繊維で世界シェア7割を占める日本企業の知財勢力図は?
工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
好況に沸く工作機械メーカーは盤石か!? 課題は営業力にあり
スマートファクトリー化で進む“モノづくり”の融合
スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク