不具合の連鎖を断つ、品質問題発覚時の展開ステップと対応策IoTによって製品品質を向上する(5)(2/2 ページ)

» 2018年07月11日 11時00分 公開
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根深い品質問題、企業文化レベルでの取り組みを

 図1の展開ステップを2カ月で実施する進め方を図2で説明しています。

photo 図2 分析の進め方(クリックで拡大)出典:KPMGコンサルティング

 1カ月目が終わるころから、最後に実施計画が着実に実施できるように、PDCAサイクルの回る仕組みを構築します。しかし、筆者はこれまで、いくつかの会社で実施計画まではできても、実施に移せない場合を見ました。プロジェクトを早く、円滑に進めるために、最初は外部のコンサルティング会社などの専門家に依頼するのもよいでしょう。品質保証体制の在り方や先進企業の事例共有などは、自社のレベルを認識する上でも重要です。

 品質不具合が発生している会社に共通していることは、一見小さな品質不具合だとしても、追加で不具合が発生しさらに深刻な問題が次から次へと出てくるというものです。

 その場しのぎの対策や対応だけでなく、企業文化や体制を変えるということまでを考えないと根本的な品質問題は解決しません。また、品質問題はより革新的な新製品や市場拡大に必要なテーマだと認識すべきです。

 IoTはそのための1つの効果的な道具です。IoTを用いてどんなことができるかと検証すべきフェーズは既に終わっていると筆者は考えます。実際にIoTを活用した品質向上の実践フェーズとなっています。グローバルで高品質を達成できている企業はこれらをうまく活用しています。先進テクノロジーをうまく活用し、グローバル化やネットワーク化などの進む新たなモノづくりの時代に最適な品質を実現することが重要です。これらが実現できた企業は、売上高や利益を向上させ、ビジネスをさらに拡大させています。日本の製造業がこうした流れに前向きに取り組めるように、本連載をご活用いただければ幸いだと考えます(連載完)。

筆者紹介

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田中孝史(たなか たかし)

KPMGコンサルティング

製造セクタ ディレクター

マネジメントコンサルタントとして、世界各地の製造業のコンサルテーションを実施した経験を有する。また、プロジェクトリーダーとして、製造業の企画・コンセプト、R&D、設計、生産技術、生産、ロジスティクス、販売・サービスと全てのライフサイクルを手掛ける。自動車、航空機、電気製品、衣服、医療機器など、対象とする産業も幅広い。


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