組み込み機器向けの「Windows」として愛用されてきた「Windows Embedded Standard 7」のサポート期間が2020年10月13日に終了します。本連載では、このWindows Embedded Standard 7から、最新の「Windows 10」世代へ移行するにはどうすればいいのかを解説します。
「Windows 7」は2020年1月14日に、「Windows Embedded Standard 7」は2020年10月13日にそれぞれサポート期間が終了します。これは、2009年のWindows 7提供開始時にあらかじめ定義されていた期日ですが、残り2年に迫った(残り2年を切った)こともあり、新しいWindowsへの移行の動きが活発化してきました。
Windows 7のサポートライフサイクルは、製品リリースから約5年間のメインストリームサポートと、その後約5年間の延長サポート、合計10年間で構成されています。それぞれの期間中に提供されるサポート内容は表1の通りとなります。
現在延長サポート期間中であるWindows 7、Windows Embedded Standard 7には、セキュリティ更新プログラムおよび有償サポートが提供されていますが、延長サポートの終了後は、これらを含む全てのメーカーによるサポートが受けられなくなります。
サポート終了を迎えたWindowsが直ちに動作しなくなるということはありません。しかし、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなることにより、安全に使用し続けられなくなります。最近では2017年5月の「WannaCry」や、同年10月の「KRACK」、2018年1月の「Meltdown/Spectre」と立て続けにセキュリティのニュースが話題となりました。これらの脅威に対して、Windowsを提供するマイクロソフト(Microsoft)は、延長サポート期間中であるWindows 7、Windows Embedded Standard 7に向けても修正プログラムの提供を行いましたが、サポート終了後の製品に対しては、原則として修正プログラムは提供されません。サポート終了後は、機器メーカーやユーザーのセキュリティリスクの判断を基に、使い続けるかどうかを決める必要があります。
サポート終了後に組み込み機器で何らかの問題が生じた場合も、マイクロソフトによる有償サポートは提供されません。このため、オンラインに公開されている情報を利用した自己解決を行う必要があり、やはりこちらも、“安全に”“安心して”使うことが難しくなります。
各組み込み機器向けWindowsのサポートライフサイクルを表2にまとめました。
見落としがちなところとしては、Windows 7におけるWebブラウザ「Internet Explorer 11」のサポートも同時に終了するということに注意する必要があります。「Internet Explorer」はWindows OSのコンポーネントという位置付けであり、それぞれ動作させるWindows OS側のライフサイクルポリシーに従います。
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