Windows 7世代では、リテール版と同じバイナリである「Windows 7 for Embedded Systems(FES7)」、構築型でありロックダウン機能が利用可能なWindows Embedded Standard 7(WES7)など、機能や用途により複数の製品が提供されていました。しかし「Windows 10」世代では「Windows 10 IoT Enterprise」に一本化されています(図1)。これにより、開発環境を必要とせずインストールのみですぐに使用できる手軽さと、リテール版には無いロックダウン機能を使用した組み込み機器としての高度な運用を両立させることができます。
ロックダウン機能の利用により、管理者が意図しないユーザーの操作を制限したり、画面に表示される情報をコントロールしたりすることが可能になり、組み込み機器を、より専用端末として使用できるようになります。同じ目的をもった機能はWindows Embedded Standard 7では「Embedded Enabling Feature(EEF)」という名称で搭載されていましたが、Windows 10世代では「Enterprise/IoT Enterpriseエディション」に、ロックダウン機能という名称で導入されており、これらは後述するCBB版、LTSB版の両方で使用することができます。
ロックダウン機能により図2で示すような挙動を実現できるようになります。これらを組み合わせれば「管理者が決めた操作/機能のみ使用できる装置」「操作履歴や秘匿すべき情報がディスクに記録されない装置」「動作させているOSがWindowsであることをユーザーに気気付かせない装置」などとして使用できるのです。
ロックダウン機能の詳細やWindows Embedded Standard 7に搭載されていたEEFとの違いなどについては、本連載の第3回記事で紹介する予定です。
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