日本電信電話と三菱重工業は、kW級の高出力シングルモードレーザー光を、加工に適した品質を維持したまま数十〜数百メートルにわたって伝送することに成功した。レーザー加工技術の適用領域の拡大に貢献する。
日本電信電話(NTT)と三菱重工業は2018年4月25日、kW級の高出力シングルモードレーザー光を、加工に適した品質を維持したまま数十〜数百メートルにわたって伝送することに成功したと発表した。遠隔からの加工、リモート溶接、厚板切断に適用できる。
両社は、2014年4月より研究開発連携を進めてきた。今回の研究では、NTTのフォトニック結晶光ファイバー(PCF:Photonic Crystal Fiber)技術と三菱重工の高出力レーザー加工技術を融合。高出力シングルモードレーザー光の伝送に最適なPCFを新たに考案・設計し、共同で高出力伝送能力を実証した。
具体的には、既存の高出力シングルモード伝送用光ファイバーに比べ、4倍の高出力伝送能力(伝送出力と距離の積)を可能にした。さらに、実際に製造したPCFを用いて、10kWのシングルモードレーザー光を30m、1kWのシングルモードレーザー光を300mにわたって伝送することに成功した。
従来、1kWを超えるシングルモードレーザー光は10m程度しか伝送できなかったが、今回の成果によって伝送距離を数倍から数十倍伸ばせるようになった。これにより、精密加工に適した品質を維持したまま長距離に渡り、高出力レーザー光を伝送できるため、レーザー加工技術の適用領域の拡大に貢献する。
今後、三菱重工で耐熱合金の孔空け加工や溶接などに向けた開発を進め、2019年以降の実用化を目指す。
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