Vector Informatikは、ECUの測定やキャリブレーション、診断、フラッシュに使用できる多機能ツールの新バージョン「CANape 16.0」をリリースした。
Vector Informatik(ベクター)は2018年2月13日(現地時間)、ECU(電子制御ユニット)の測定やキャリブレーション、診断、フラッシュに使用できる多機能ツールの新バージョン「CANape 16.0」を発表した。
CANape 16.0では、開発者の作業とECUとのインタラクションの省力化を図った。CANapeプロジェクトの交換作業の際、関連する全ての情報とファイルをボタン1つでデータコンテナに保存可能にしたことで、プロジェクトの受け渡し時の取りこぼしを防げるようになった。
先進運転支援システム(ADAS)開発分野の機能も強化。LIDARセンサーデータを、他のADASシステムと並行して取得し、多くの情報を含む点群として表示する機能などを追加した。
これまでのレーダー生データの取得に加え、Velodyne製LIDARセンサー(VLP-16、HDL-32E、HDL-64E)やIbeo LUX、Quanergy M8などのLIDARセンサーにも対応。シーンWindowには回転やズーム機能の他、多彩なビューを用意した。オブジェクト認識の最適化アルゴリズムの解析や、複数センサーのデータフュージョン結果へ迅速にアクセスできるように改善している。
キャリブレーションデータ管理のための新オプションとして、「オプションvCDM」を追加。全てのユーザーが最新のデータセットと変更履歴を共有できる。修正したキャリブレーションデータの送信やワークパッケージの取得といったvCDMサーバベースの管理システムを、CANape内で直接フルに利用できるようになり、他のツールを起動する手間を省くことができる。
さらに、測定作業で多数の測定ファイルが連続して生成されても、自動的にファイルのシーケンスを読み込んで1つの測定データとして結合。全体に視覚化して解析できるように改善した。
測定データ管理については、新オプションとして「オプション vMDM」を追加。CANapeで測定を終えると、そのままユーザーPCからvMDMサーバに測定データを手動か自動で転送する。テスト走行中にサーバへのIP接続が確保できない場合でも、vMDMはデータをバッファーに蓄積し、アクティブな接続が復帰したタイミングで自動的にアップロードする。
新オプションの「Thermodynamic State Chart(熱力学状態図)」では、特定の体積時の圧力などをp-h線図で表示でき、広範な素材データライブラリーから熱物性の選択も可能となった。
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