外観検査や故障予知でのAI活用を加速、安川電機がAI子会社を設立:FAニュース
安川電機はAIソリューション開発を手掛ける子会社「エイアイキューブ」を新たに設立した。さらにAIベンチャークロスコンパスとの戦略的提携も行う。
安川電機は2018年3月19日、製造および産業用ロボット向けのAI(人工知能)ソリューション開発を行う新会社「エイアイキューブ(以下、AI3)」を設立したことを発表した。さらに、新会社においてAIベンチャーのクロスコンパスと戦略的提携を行った。
安川電機では2025年ビジョンとして「新たな産業自動化革命の実現」を掲げているが、2017年10月にこれを推進する新コンセプトとして「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を発表※)。グローバルで高い競争力を持つ安川電機の産業用ロボットやサーボモーターなどのコンポーネント製品にAI技術を加えることで、新たな価値提供を目指している。
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このAIの開発に取り組むのが新会社「AI3」である。「AI3」は、安川電機のサーボモーターやインバーター、産業用ロボットなどで得られるモノづくり現場のデータを活用し、製造現場の課題解決につながるAI開発を推進する。特に重視しているのが、外観検査向けの画像処理、故障予知向けの時系列解析、そしてタクトタイム短縮のための最適化などの点である。これらの生産効率化に直結するソリューション開発に注力する※)。
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安川電機がSCF2017に出展した「アイキューブ メカトロニクス」のデモライン
さらに、2017年10月に安川電機との間で提携を発表しているクロスコンパスと、新会社でも戦略的提携を行うことを発表した。
製造現場でのAI導入に向けた開発スピードを加速させるための技術協力に加え、業務委託などを含めた連携を強化する方針。クロスコンパスが強みを持つ製造業における異常検知をはじめとした各種ソリューションの開発を共同で進めていく※)。
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