キヤノンは新たにシーメンスと協業し、FAソリューション領域に本格参入することを発表した。イメージング技術などを活用し、新たな工場自動化の世界を実現する。
キヤノンは2018年2月14日、シーメンスと協業しFA(ファクトリーオートメーション)ソリューションに本格参入することを発表した。
キヤノンではデジタルイメージング分野の産業領域での活用を強化する取り組みを推進。工場向けでは、2014年にマシンビジョンに参入しているが※)、新たにネットワークカメラや産業用カメラなどのイメージング技術や画像処理技術を生かし、工場の「見える化」を実現する「Canon Industrial Imaging Platform」として展開を開始する。
※)関連記事:キヤノンがマシンビジョン市場に新規参入――産業用分野への取り組みを加速
その取り組みの一環として、シーメンスと協業。生産現場のデジタル化と自動化に強みを持つシーメンスの幅広い製品群とキヤノンのイメージング技術を連携させ、FAを支援するシステムソリューションの提供に取り組む。
第1弾として、シーメンスの産業用PC「SIMATIC IPC」にキヤノンの異常監視・録画ソフトウェア「Monitoring Edition」および画像処理ソフトウェア「Vision Edition」をインストールし2018年3月から国内販売を開始する。
「Monitoring Edition」はマイルストーンシステムズ社のビデオ管理ソフトウェア「XProtect」に生産設備の制御を担うPLCとの通信ができる機能を組み込むことで、ネットワークカメラで撮影した問題発生時の映像を切り出して自動録画できるようにしたもの。PLC情報との組み合わせにより、異常発生時の前後10分間の映像を自動録画し、異常の原因発生に貢献する。ネットワークカメラのパン、チルト、ズーム機能を活用すれば、1台のカメラで最大15カ所まで登録し作業状況を自動録画することが可能である。
「Vision Edition」は、キヤノン製のネットワークカメラや産業用カメラ「N10-W02」と画像認識技術を組み合わせた画像処理システムの構築を可能としたソフトウェアである。バーコードの読み取り作業や資材配置の点検、製造装置のメーターの点検作業や異物の有無など、画像を活用したさまざまな作業の自動化に貢献する。
デンソーウェーブの小型アームロボット「COBOTTA」との組み合わせで、ピック&プレース作業やロボットを活用した点検作業なども実現可能だとする。
まずは国内から販売開始するが、今後は中国や米国、欧州でも2018年内に展開を開始するという。またシーメンスとの協業に加えて、今後は他のパートナーとの協業も広げ、工場領域での画像活用の可能性を広げていく方針を示している。
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