一方、日本での取り組みについては「デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)は重要だと位置付けているが、より掘り下げたインダストリーイノベーション(産業革新)が必要だと考えている。この領域に注力していく」と日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長の菖蒲谷雄氏は語る。
グローバルでの重点6領域に対し、日本では製造、流通、ヘルスケアの他、スマートビルディング、エネルギー、セキュリティの6つを重視する方針だとしている。
IoTソリューションの進展として、「カスタムソリューション」からパッケージなどで構成される「リピータブルソリューション」に進み、その後、複数の機能のパッケージを統合した「統合ソリューション」となる見通しを示す。最終的にシステムの存在を感じさせない「ユビキタスIoT」へと向かうとしている。
「現在のIoTの取り組みは、製造業や資源などの領域で進んでいるが、着実に進捗している。IoTのソリューションとしても従来はカスタムソリューション中心だったのがリピータブルソリューションの比率が上がってきている」と菖蒲谷氏は手応えについて語っている。
インダストリーイノベーションを進展させるためには業種ごとの取り組みが重要になるが「IoTに関する取り組みは1社で全てを完結することはできない。コミュニティーや業界団体との連携など、多くの企業で協力できる体制が重要だ」(菖蒲谷氏)とする。
その中で、業界団体としては産業用ネットワークで採用が広がっている「OPC UA」を推進する日本OPC協議会などとの連携やスマートリテーリングフォーラムへの参加などを行っている。さらに、2016年2月に「IoTビジネス共創ラボ」を発足し、コミュニティー活動を推進してきた。
発足当初は「100社くらいの参加規模になればよい」(菖蒲谷氏)という目標を掲げていたが、2018年1月時点で会員企業は435社にまで拡大。日本マイクロソフトのパートナー企業などの他、ユーザー企業なども参加している。「ビジネス」「製造」「分析」「物流・社会」「ヘルスケア」「Pepper」「ドローン」の7つのワーキンググループ(WG)活動を推進している。さらに2018年1月18日には新しいWGとしてARやVR、MRをテーマとした「xR WG」を発足している。
さらに東京地域以外にも、福島、北海道、中部(名古屋市)、川崎(神奈川県)の4つの地方IoTビジネス共創ラボを発足。地方にも活動領域を広げている。
IoTビジネス共創ラボの幹事会社である東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー カンパニーバイスプレジデントの福田良平氏は「IoTの取り組みは1社ではできない場合が多い。会員のもとに持ち込まれた相談などを、WGに持ち込み総合的なソリューションとして仕上げる動きなども実ビジネスレベルで出てきている」と成果について述べる。
今後については「さらに実ビジネスとしての成果を拡大し事例などを紹介していくとともに、会員数は倍増以上となる1000社まで拡大することを目指す」としている。
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