日本ケミコンは、AIサーバの液浸冷却に対応したアルミ電解コンデンサーの開発に成功した。液浸冷却に対する気密耐性評価を実施し、液浸しても外観や重量が変化しない封口ゴムも新たに開発した。
日本ケミコンは2024年11月1日、AI(人工知能)サーバの液浸冷却に対応したアルミ電解コンデンサーの開発に成功したと発表した。既に液浸評価用サンプルの提供を開始しており、2025年度から量産する計画だ。
生成AI技術が普及し、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、次世代データセンターの拡大に期待が高まっている。一方で、AIサーバではCPUとGPUの高性能化に伴い冷却用の空調電力需要が急増しており、データセンターのエネルギー消費量の増加が世界的な環境課題となっている。
AIサーバをはじめとするハイパフォーマンスコンピューティング向けサーバラックの消費電力は、20kWから場合によっては100kWを超えるため、コールドプレートか液浸による冷却が必要になる。しかし、コールドプレートではPUE(電力使用効率)の改善に限界があり、より高効率な液浸冷却への移行が有力視されている。
また、一般的なアルミ電解コンデンサーを液浸すると、封口ゴムの劣化が進み、気密不良から寿命が短くなることが確認されており、液浸への対応が求められる。
封口ゴムを自社開発する日本ケミコンは、液浸冷却に対する気密耐性評価を実施し、液浸しても外観や重量が変化しない封口ゴムを新たに開発した(特許申請中)。大手冷媒メーカーの協力を得ながら、評価を継続していく。また、今後は大規模サーバと同様に、冷却が大きな課題と想定される車載や産機市場への試供にも対応する。
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