日本マイクロソフトはIoTに特化したパートナーイベント「IoT in Action」を開催。基調講演におけるマイクロソフトのIoT戦略と、国内のIoTの取り組みを紹介したプレスラウンドテーブルの内容をお伝えする。
日本マイクロソフトは2018年1月25〜26日、IoT(モノのインターネット)をテーマとしたパートナーイベント「IoT in Action」を開催。その基調講演で、米国Microsoft(マイクロソフト) デバイス&ソリューションズ バイスプレジデント ピーター・ハン(Peter Han)氏は「IoTにおいてもテクノロジープラットフォームを提供する存在でありたい」とする同社のIoT戦略について紹介した。本稿では基調講演の内容と、国内におけるIoTの取り組みを紹介したプレスラウンドテーブルの様子をお伝えする。
「IoT in Action」はマイクロソフトが2017年に開始したIoTに特化したパートナーイベントである。世界各国で回り今回東京での開催となった。基調講演の冒頭でハン氏は「まず歴史を振り返りたい」とし、1980〜1990年代のPC普及期にマイクロソフトと日本のパートナー企業の取り組みにより成し遂げたことを強調。「Windowsにおいて、日本全国のパートナーと組むことができテクノロジーを普及させることができたことでPCやインターネットにより社会を変革するような大きな動きを生みだすことができた。今はIoTで同じような変革の岐路が生まれている」とハン氏は述べる。
変革の影響度として「1時間ごとにオンラインになるデバイスが100万ずつ増える」「S&P500(米国のトップ500企業)の寿命は今は15年だが、2020年までには平均寿命は12歳になる」「コンピューティングの60%が2025年までにクラウドで行われるようになる」という点などを紹介。「変革に適応するか、衰退するかという段階に入っている。変化しないと失業する。チャンスをつかむ企業は小規模企業でも大きく成長している。こうした変化への準備が必要だ」とハン氏は強調する。
一方で「こうした動きは1社ではできない。パートナーが必要だ」とし、2020年に1.3兆ドルに達するとされるIoT関連の市場に対し、1兆ドルがエコシステムやパートナーが得る市場だとしている。
こうした環境の中でマイクロソフトは何を目指すのだろうか。
ハン氏は「マイクロソフトが目指しているのは、テクノロジープラットフォームになること。さまざまなソリューションを可能にする存在になることだ。そのためにパートナーの関係性から生まれるエコシステムを構築することが重要だ」と述べる。
新たな技術トレンドとしてはAI、MR(Mixed Reality)、量子コンピューティングなどがあるとし、さらにテクノロジー基盤を構成する要素として「セキュリティ」「ハードウェア」「サービス」「ソフトウェア」の4つをハン氏は挙げる。これらの全ての要素での技術を保有しており「横断的で包括的なソリューションを提供できることがマイクロソフトの強みだ」(ハン氏)としている。
これらの強みを生かしIoTへの取り組みの方針となっているのが「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」である。AI(人工知能)関連技術などをクラウド側に導入していくだけでなく、同様の機能や仕組みをエッジ側にも導入し、シームレスな情報活用基盤を実現するという取り組みである。
マイクロソフトではこの「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」を主に6つの業種をターゲットに展開。製造業、流通、政府、教育、金融、ヘルスケアにおいて、パートナー構築やエコシステム構築を進める。
パートナー戦略としては、「全体のデザイン」「システム構築」「販売」の3つのアクションに協力して取り組んでいく方針だ。ハン氏は「30〜40年前にPCで、マイクロソフトと日本のパートナーが実施してきた取り組みや革新を、IoTでも実現したい」と語っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.