クラリベイト アナリティクスは、知財/特許動向の分析から世界で最も革新的な企業100社を選出する「Top 100 グローバル・イノベーター 2017」を発表。前回の2016年は100社中の国別企業数で2位だった日本だが、2017年は米国を抜いて再び1位に返り咲いた。会見では、7年連続受賞の日東電工と初受賞の富士電機が技術開発戦略を説明した。
クラリベイト アナリティクス(Clarivate Analytics)は2018年1月25日、保有する特許データを基に知財/特許動向を分析し、世界で最も革新的な企業100社を選出する「Top 100 グローバル・イノベーター 2017」を発表した。前回の2016年は、100社中の国別企業数で34社と2位に甘んじた日本だが、2017年は5社増えて39社となり、米国を抜いて再び1位に返り咲いた。
クラリベイト アナリティクスは、情報サービス企業であるトムソン・ロイターのIP&Science事業部が2016年10月に独立した企業である。Top 100 グローバル・イノベーターは2011年から毎年発表しており今回で7回目となる。選定基準は、取得した特許の数量である「特許数」、出願した特許が登録される「成功率」、日本、米国、欧州、中国という主要4市場における特許出願を計測する「グローバル性」、そして他社の発明への引用数を見る「影響力」の4つだ。分析対象は過去5年間で、グローバル性のみ過去3年間となる。なお、これらの分析には、クラリベイト アナリティクスの付加価値特許データベース「Derwent World Patents Index(DWPI)」、特許調査・分析プラットフォーム「Derwent Innovation」、特許引用情報データベース「Derwent Patents Citation Index(DPCI)」を用いている。
クラリベイト アナリティクス日本法人 代表取締役の日野博文氏は「AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)による技術革新が進み、国をまたいでのM&Aなど経済活動も拡大している中、イノベーションは極めて重要になっている。2016年の結果は、アジアが米国に次ぐイノベーション地域であることを示していたが、2017年はアジアがイノベーションの最前線であるという結果になった。経済発展が顕著なアジアにイノベーションが必要だからだが、その中で日本は受賞最多国になることができた」と語る。
また2016年から引き続き、Top 100に入る企業の知財戦略が、「特許数」よりも「成功率」、つまり“量より質”を重視していることが明らかになった。過去5年間の世界の特許出願件数は11.9%増だったが、今回のTop100の受賞企業は2.4%増にとどまっている。その一方で、2017年の世界の特許登録数が前年比3.4%増なのに対して、Top 100受賞企業は同5.9%増だったという。
選定された39社の日本企業のうち、キヤノン、富士通、日立製作所、ホンダ、NEC、日東電工、NTT、オリンパス、パナソニック、セイコーエプソン、信越化学工業、ソニー、東芝、トヨタ自動車(英文企業名のアルファベット順)の14社は、7年連続で選定されている。また、富士電機と日亜化学工業が今回初選出の日本企業となった。
なお2016年に選定された日本企業のうち2017年に落選したのは、マキタ、住友電気工業、ヤマハ、矢崎総業の4社だった。
海外企業で見ると、米国企業が36社、フランス企業が7社、ドイツ企業が4社、韓国企業が3社、スイス企業が3社、オランダ企業が2社、台湾企業が2社と続く。中国、フィンランド、アイルランド、スウェーデンが1社ずつとなっている。
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