デンソーは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」において、圧縮センシングによってミリ波レーダーの分解能を高めるデモンストレーションを行った。
ソフトウェアの変更だけでセンサーの性能を最大限高められるとしたら――。デンソーが開発に取り組む信号処理の新技術「圧縮センシング」が、ソフトウェアのみでのセンサーの進化を実現する。適用できるのはミリ波レーダーやライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)、ドライバーの感情を検出するための生体センサーなど幅広い。
消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」(2018年1月9〜12日、米国ネバダ州ラスベガス)において、圧縮センシングによってミリ波レーダーの分解能を高めるデモンストレーションを行った。
デンソーの説明員によれば圧縮センシング自体が新しい研究分野で、同社としても実用化時期が未定の研究開発の段階にあるという。ハードウェアを変更せずにセンサーの性能をフル活用することにより、自動運転技術のより高度な制御を実現できるのがメリットとなる。センサーの競争力向上に社内で活用する他、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)でセンサーの性能を強化するといった新しい使い方の可能性も含めて、展開は柔軟に検討していく方針だ。
圧縮センシングは、数学的な研究の進展と、センサーに使用するチップの高性能化によって、リアルタイム性が求められる自動車向けでの適用が視野に入ってきた。これまで圧縮センシングでは処理時間の長さが課題となっていた。
例えば、ミリ波レーダーの場合、モノに当たって返ってきた電波から物体の位置を検知している。圧縮センシングでは、「電波がどのように反射するかというセンサーが持つ“辞書”と、実際の反射の結果を照らし合わせて正しい組み合わせを探す作業を効率化することで、ソフトウェアによるセンサーの高性能化を実現している」(デンソーの説明員)という。
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