パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社とパナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)が、法務省の入国管理局に採用された「顔認証ゲート」について説明。高度な顔認証技術の他に、CNS社のイノベーションセンターやデザインセンターが加わった共創活動が採用の決め手になったという。
パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社とパナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)は2017年12月15日、東京都内で会見を開き、法務省の入国管理局に採用された「顔認証ゲート」について説明した。
顔認証ゲートは2017年10月18日に、羽田空港における日本人の帰国手続きの用途で3台が先行導入された。法務省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて増加する訪日外国人の出入国に対応できるリソースを確保するため、顔認証技術の活用による日本人の出入国手続きの合理化を検討している。顔認証ゲートの採用はその施策の一環で、今後は羽田空港以外にも採用が広がるとみられる。
顔認証ゲートは、利用するための事前登録が不要で、パスポートのICチップ内の顔画像と、顔認証ゲートのカメラで撮影した本人顔画像を照合することで本人確認を行うシステムだ。パスポートをパスポートリーダーに設置してから、ハーフミラー内に組み込まれたカメラで撮影して本人確認を完了するまで早ければ10秒以内と、帰国手続きをスムーズに行える。
空港などでの帰国手続きでは、審査官による審査の他、指紋認証式のゲートも利用されていた。しかし、指紋認証式のゲートは、指紋登録の必要があること、指紋の経年劣化などにより認証精度があまり高くないことが課題になっていた。
パナソニックの顔認証ゲートは、これらの課題をクリアしつつ、「『厳格』かつ『円滑』な出入国を実現しつつ、初めての人や高齢者でも簡単かつ安心・安全に利用できることを目指して開発を進めた」(パナソニック CNS社 イノベーションセンター システム部 システム2課 課長の窪田賢雄氏)という。
顔認証技術については、30年以上前からデジタルカメラなどの開発を通して培ってきた画像処理技術を基にして、数万〜数十万人といった多くの人を識別することを目的に機械学習なども組み合わせて開発した。パスポートに登録されている写真データと実際の撮影した写真データを比べた場合に、ひげや化粧、しわやしみなどの経年変化で違いが出てくる場合もあるが、影響を受けずに本人確認が行えるとしている。
また、顔認証技術と言えばNECが広く知られているが「当社も引けを取らない技術を持っている。これまでセキュアな用途での採用が多く、あまり実績をアピールできていなかったが、今回の採用をきっかけに広く知っていただければ」(窪田氏)という。
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