VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集
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» 2017年12月08日 13時00分 公開

テスラのモデルXを丸裸にする、自動車開発のVR最前線VR事例(3/3 ページ)

[加藤まどみ,MONOist]
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自動運転がバーチャル認証を押し進める

 講習会では日本機械学会フェローで本田技術研究所 四輪R&Dセンター デジタル開発推進室 CISブロック シニアエキスパートの内田孝尚氏によりバーチャルテストの新動向が解説された。自動車の法規体制については、現状はアメリカ基準とヨーロッパ主導の国連法規の2つが主流となっているが、いずれ国連法規が統一基準になりそうだという。

 ヨーロッパはバーチャルテストによる認証制度を主導しているといえる。国連法規では2016年に、バーチャルテストを利用した認可が可能になった。現在、欧州議会が管理している産業支援のためのプログラムで、Horizon 2020というプロジェクトが進められている。この中ではバーチャルテストを含めたバーチャルエンジニアリングの利用に向けた取り組みが進められている。

 この流れとともに「バーチャルテストが当たり前という世界が始まっている」(内田氏)。例えば開発の進んでいる自動運転技術は制御技術の塊だ。そのため技術を評価する新しい技術が必要になる。そこでバーチャル技術が欠かせない状況になるという。自動運転技術では無数の状況を想定した確認が必要だが、走行距離は数億kmになり実際に走らせるのは現実的ではないためだ。そこでVR技術を使ったテストが活用されることになる。

ソフトウェア認証に正確に対応しないと

本田技術研究所の内田孝尚氏 本田技術研究所の内田孝尚氏

 今後、製品開発における制御関連ソフトウェアの開発費の割合は増えていくと考えられる。このソフトウェアの開発と認証を正確にできなければ今後大変になるだろうという。Vフローでいえば、左側が設計軸で右側が検証軸になるが、今までほとんど実車検証だった。だが左側で何でも検証できるのではないかという動きが起こっている。

 Vフローのサイクルが小さくなっており、制御ロジックを組み込んだモジュールモデルのMILS、制御アルゴリズムを実際のECUに組み込んだ時のソフトウェア検証を行うSILS、ハードモジュールと実際のECUを使ったハードの動作機能を検討・検証するHILSという定義があり、MILS、SILSを集めて拡大すればVILSという車両1台にまで拡張したものになる。こうなると自動車1台の検証を全てVフローの左側で済んでしまう、つまりバーチャルテストが可能になる。

 一方、日本ではMILSなどの言葉の定義すらきちんとできないない状況だ。自動車業界では3D図面化が進んでいるといわれるが、自動車メーカーとサプライヤーの間でやりとりされる図面の半分以上は2次元図面だという。杞憂(きゆう)だという人も多いが、このままバーチャルテストへの対応が必要な時期に突入した場合、問題になるのではないかと内田氏は指摘した。

図11:Vフローの変化(出典:日本機械学会「機械学会誌2017年7月号小特集」)

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