なぜ日本ではバーチャルなモノづくりが受け入れられないのか?日本機械学会 設計工学・システム部門の講習会より(1/4 ページ)

欧州ではモノづくりの現場でCAEを活用したバーチャルエンジニアリングが当たり前になりつつある。自動車の認証試験に「バーチャルテスト」を取り入れる動きも進んでいる。一方、日本ではバーチャルエンジニアリングの価値がなかなか理解されていないようだ。

» 2015年12月21日 10時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 2015年10月28日、日本機械学会の講習会「VE/VRを用いた設計・開発・ものづくりの新しい検討手法の紹介」(設計工学・システム部門 企画)が開催された。その中の本田技術研究所 四輪R&Dセンター デジタル開発推進室 CISBL シニアエキスパートの内田孝尚氏による発表「VE環境を用いた開発・ものづくりの動向とVT拡大の新しい動き」から紹介する。内田氏は、実物での試験「リアルテスト」に代わる、シミュレーションを活用した「バーチャルテスト」を本格的に認証へ活用する準備が、EU主導で進む現状を紹介するとともに、日本におけるバーチャルエンジニアリングへの取り組みに対する課題を指摘した。

本田技術研究所 四輪R&Dセンター デジタル開発推進室 CISBL シニアエキスパートの内田孝尚氏

認証にリアルテストはいらない?

 図1は、EUのプロジェクトとして進められていた「IMVITER(欧州車両認証制度)」による、車両認証におけるバーチャルテスト導入のロードマップである。

図1:IMVITER(欧州車両認定制度)によるバーチャルテスト導入のロードマップ

 INVITERプロジェクトは認証におけるバーチャルテスト導入の支援を目的としている。その狙いは、型式認定手続きに関わる負担軽減や、欧州自動車工業の競争力強化となる。1つ目のフェーズはリアルテストのみの段階だ。現在はフェーズ2の、リアルテストとバーチャルテストを並行して使用して認証を実施している段階になる。2020年にはバーチャルテストが主流になるフェーズ3に入る。この2020年がターニングポイントになるという。「シミュレーションと実際の試験を比較しなくてもよい、バーチャルテストが主流になる」(内田氏)。

 例えば、走るための道路データは、Googleの自動運転車(グーグルカー)のようにストリートビューを取ったり、地面の表面形状を0.1mmの高さの分解能でスキャンするトラック、広範囲を見るヘリコプターなどで作られている。このデータ作成などでビジネスとして成立するほど、バーチャルテストは欧州では一般化しているという。

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