日本発のエッジコンピューティング用ソフトウェア「Edgecross」を推進する「Edgecrossコンソーシアム」が「SCF2017/計測展2017 TOKYO」に出展。エッジ領域での協調領域を最大化する意義を訴えた。
Edgecrossコンソーシアム(以下、エッジクロスコンソーシアム)は、オートメーションと計測の先端技術総合展「SCF2017/計測展2017 TOKYO」(2017年11月29日〜12月1日、東京ビッグサイト)において、日本発のエッジコンピューティング用ソフトウェア「Edgecross(以下、エッジクロス)」を紹介した。
「エッジクロスコンソーシアム」は2017年11月にアドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6社が幹事会社となって設立。6社を含める51社が賛同企業として名前を連ねている(※)。
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IoT(モノのインターネット)によるCPS(サイバーフィジカルシステム)の世界を実現するためには、センサーなどで取得するデータを蓄積して分析し、その知見を現場のプロセスに反映するデータ活用サイクルを構築しなければならない。データの分析や解析などを本格的に行うには、拡張が容易なクラウド環境で行うのが最適だ。しかし一方でリアルタイム性が要求される場面では、通信を挟むクラウドでは遅延の問題が生まれる。さらに、全てのデータをクラウドに送れば膨大な通信コストが発生する他、データ整形されていないデータが膨大に生まれても意味のある知見を導き出すのは難しい。
これらの点からセンサーなどのデータを一時的に選別して簡易処理を行ってからクラウドに送り、さらにリアルタイム性が要求されるようなものに対しては、その場でフィードバックを返すような役割を担う「エッジコンピューティング」に注目が集まっている。
「エッジクロス」はこれらの課題を解決する「エッジコンピューティング」の共通基盤ソフトウェアである。現状では工場などの現場の機器や通信プロトコルなどは個別のものが乱立しており、複数の企業やシステムの情報を一元的に扱うのが難しい状況である。一方で上位に接続するITシステムもユーザー企業によって多岐にわたるものが存在する。これらの上位と下位の異種システム環境の差を吸収し、それぞれを有効に結び付ける基盤技術が求められていた。これらを開発するために関連企業が集まって生まれたのがエッジクロスコンソーシアムである。
SCF2017では、複数のコントローラーからの情報をエッジクロスを搭載した産業用PCで受け簡易的なデータ表示を実現する様子を示した。さらに、その整形されたデータを活用して、ERPシステムの情報などと組み合わせBI(Business Intelligence)ツールで表示する様子なども示した。基盤ソフトウェアである「エッジクロス」はWindowsベースの産業用PCやコントローラーには基本的には搭載可能だという。
発表後の手応えについて、Edgecrossコンソーシアムの南澤一成氏は「非常によく、多くの企業から説明を求められている状況。各企業のエゴは捨ててもっと高い視点で業界や産業にとって必要になる基盤技術ということで推進しているが、その点が評価を受けている」と手応えについて語っている。
エッジクロスは将来的な国際標準化を目指すとしているが「まだコンソーシアムが設立したばかりで海外への普及活動が十分に行えてはいない。現状では海外での活動が課題だといえる。ただ、今後はリエゾンオフィスの設立など、海外にも当然取り組みの幅を広げていくつもりだ」と南澤氏は述べている。
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