オムロンは、製造現場の知能化を進めるIoT基盤「i-BELT」の実証事例として、草津工場の金型加工工程と、綾部工場の近接スイッチモジュール組み立て工程での成果について紹介した。
オムロンは2017年11月20日、製造現場の知能化を進めるIoT基盤「i-BELT」の実証事例として、草津工場の金型加工工程と、綾部工場の近接スイッチモジュール組み立て工程での成果について紹介した。
オムロンの「i-BELT」は2017年8月に発表(※1)されたIoT基盤である。同年4月に発表したAI搭載マシンオートメーションコントローラーを軸に、オムロンが保有する幅広い制御機器などからのデータを製造現場レベルで簡単に収集・分析し活用できるようになる。
(※1)関連記事:オムロンが立ち上げるのは“標高10m以下”の最もエッジ寄りなIoT基盤
まず、現場の制御機器やセンサーなどの入力機器からのデータを、AIコントローラーで収集する。そしてそのデータをフォーマッティングして後工程で活用できるように変換し、サーバなどに送って蓄積する。蓄積されたデータからBIツールなどを活用し「見える化」を実現する他、さまざまなツールによるデータ分析を行う。さらに、分析で得られた知見から制御アルゴリズムを生成し、それをAIコントローラーにフィードバックするという流れである。フィードバックされた制御アルゴリズムにより学習や分析の結果を生かした新たな制御プログラムを活用することが可能となる。
実際にこのサイクルを活用し、マシニングセンタによる金型加工の自動制御を行っているのがオムロンの草津工場である。オムロンでは多くの制御関連製品を製造・販売しているが、制御製品は使われる環境や顧客によって仕様が全て変わるので、多品種少量生産体制が求められている。一方で顧客からの品質向上やコストダウンなどの要求は高まっており、金型製造費の低減も大きなテーマである。
金型の製造にはマシニングセンタを活用しているが、最適な加工条件の設定などには熟練工の判断が必要になり、人によるばらつきなどが発生し、属人的な環境となっていた。一方でこうした見極めがうまくいかないと、工具の破損などで機械稼働を止めないといけない場面なども生まれ、作業効率の安定化が課題となっていた。
そこで「i-BELT」を活用し、作業者の五感で判断していた小径工具の加工条件設定を自動化することに取り組んだ。
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