沖電気工業は、製造ラインや橋梁などの多地点の温度やゆがみをリアルタイムで分布測定できる「光ファイバーセンサー」評価キットの提供を開始した。独自開発の光ファイバーセンシング技術「SDH-BOTDR方式」を採用している。
沖電気工業は2017年10月20日、製造ラインや橋梁などの多地点の温度やゆがみをリアルタイムで分布測定する「光ファイバーセンサー」評価キットを発売した。最大1週間のトライアルが100万円から、最大1カ月の実証実験が300万円から(いずれも税別)。光ファイバーセンサー装置や制御用PC、計測ソフト一式を含む評価キットの使用ライセンスと機器の設置や調整、データ取得、まとめなどの付帯作業(SE費用)を含んでいる。
同社の高速光通信技術を活用して新たに開発した、光ファイバーセンシング技術「SDH-BOTDR方式」を採用。光ファイバーに光パルスを入射した際に発生するブリルアン散乱光の周波数変化によって温度やゆがみを測定する、従来の「BOTDR方式」を改良したもので、周波数の変化を位相シフトで捉えることで計測時間が短縮した。
また同キットでは、1m間隔で最大10kmと広範囲の計測が可能だ。また、従来のBOTDR方式では10秒~数分要していた温度とゆがみの測定を1秒未満で測定し、変化点を迅速に特定できる。
製造ラインや社会インフラの監視において、広範囲かつリアルタイムで温度、ゆがみを計測することが求められている。電気式センサーを用いる従来の方法は、ネットワーク構築を含めた機器の導入コストなど負担が大きかった。また、光ファイバーセンシング方式では、データ演算数が多いため計測に時間がかかり、リアルタイムで状況を捉えられないという課題があった。
同社は主な活用分野として、大型製造装置における品質や製品トレーサビリティーの管理、大型プラントや倉庫の防火対策、橋梁のゆがみやワイヤロープの断線の監視などを想定している。
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