技術はこれから!でも若さいっぱいの沖縄大会、ETロボコンが業界底上げの起点にETロボコン2017沖縄地区大会レポート(3/3 ページ)

» 2017年10月20日 10時00分 公開
[沖縄特派員MONOist]
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アドバンストクラス

 一方、アドバンストクラスは(1)琉球大学工学部 情報工学科、(2)沖縄職業能力開発大学校 物流情報科、(3)美来工科高等学校、(4)特別枠のフロム沖縄推進機構の4チームが参加した。

 プライマリークラスに比べると完走率は高かったものの、「ET相撲Neo」と「ブロック並べ」という、今回設定されたゲームに挑めたチームはなかった。完走後、ゲーム直前でリタイア、またはゲームに入ってすぐにリタイアというパターンだった。

 最も会場がわいたのは、全ての試合が終わった後、琉球大学工学部 情報工学科チームのロボットが再度、エキシビションとして登場したときだ(図6)。

図6 図6 沖縄地区大会で最も会場が盛り上がったのは、琉球大学工学部 情報工学科チームのエキシビション。モーターのエンコーダーの情報をもとに自己位置を推定し、コースをショートカットして最短距離で駆け抜ける姿をみせた。写真は、琉球大学チームが、開発したロボットについて説明している様子(クリックで拡大)

 本番では、コース上のラインをトレースする確実な方法で挑んだが、エキシビションではモーターのエンコーダーの情報をもとに自己位置を推定し、コースを最短距離で駆け抜ける姿をみせた。

 本番のロボット競技でもショートカットする方法を使えばよかったのに……と思って聞いてみると、残念なことにコース上のフリースペースに障害物がある状態には対応していない、という答えだった(本番では、フリースペースに沖縄の魔除けの置物「シーサー」や、沖縄の特産野菜「ゴーヤー」のぬいぐるみが置かれていた)(図7)。

図7 図7 琉球大学工学部 情報工学科チームのロボットは、コースのフリースペースに障害物を置かれることを想定した作りになっておらず、自己位置推定でコースをショートカットする方法は本番で使えなかった。写真は、沖縄の魔除けの置物「シーサー」と沖縄の特産野菜「ゴーヤー」のぬいぐるみ(クリックで拡大)

 過去の大会の事例などを考慮すると、フリースペースに障害物が置かれることは想像できたはず。同チームの自己位置推定でコースをショートカットする方法は「いちかばちか」になってしまっており、大学工学部の学生チームの開発成果としては物足りなく感じた(ショートカットする方法に着目したのであれば、もう少し踏み込んでほしかった)。

 アドバンストクラスの総合優勝は美来工科高等学校だったが、モデル審査の評点を含めた総合的な観点で、琉球大学工学部 情報工学科チームが全国大会チームに選ばれた(図8)。同チームは、情報工学科の課業である情報工学実験のロボット班のメンバーが集まって結成された。実験に設定された時間だけでは足りず、課外時間にも自主的に集まって開発に取り組んできたという。

図8 図8 デベロッパー部門(アドバンストクラス)で全国大会出場を勝ち取った琉球大学工学部 情報工学科チーム。モデル審査の結果が高く評価された。全国大会では、完成度をさらに高めてくることを期待したい(クリックで拡大)

 ガレッジニア部門については、同部門の審査(ビデオ審査)は2017年10月8日の開始だったため、地区大会当日は、N高等学校と沖縄県立北中城高等学校の「Sunshine」チームが開発内容をエキシビションとしてプレゼンした。同年11月に開催される全国大会では、沖縄地区選抜チームが会場を盛り上げてくれることに期待したい(図9)。

図9 図9 大会終了後の集合写真。ETロボコンなどのモノづくりイベントを通した学生教育が、近未来の沖縄を良い方向へ変えていく(クリックで拡大)
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