Mofrel用の入稿データは、専用プラグインをインストールした「Adobe Photoshop」から簡単に生成できる。3Dデータには対応していない。
「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)での展示では「デジタルシート」として印刷サンプルを展示し、PET素材のシートも公開した(関連記事:カシオの2.5Dプリントは「デジタルシート」に、「表面形状の試作に最適」)。この展示以来、さらに開発が進み、曲面の貼り付けにも対応できる、伸びる素材のシートの開発にも成功した。シートの材質も今後、ユーザーのニーズ次第で増やしていく予定だという。
従来の製品開発初期におけるモックアップ試作では、例えば、紙や発泡スチロールなどで製作した立体物に印刷した絵を張り付けるといったアナログな手段も結構使われており、そのタイミングで表面のテクスチャや触り心地まで評価できるサンプルを用意するのは時間的にもコスト的にも難しかった。
また3Dプリンタの造形物で評価するにはデータ作成面でテクニックのハードルがあり、なおかつ造形そのものや後処理にもそれなりに手間と時間がかかる。一方、Mofrelは、3Dプリンタほどデータ作成のハードルも高くなく、かつ製作時間も短く、コストも安く済むという利点がある。
「もともとは教育向けのデジタル絵画や視覚障害者向けの案内サインなどを制作する取り組みだったが、外部に展示してみたところ、意外と自動車業界の人から注目され、以来、製造業の試作用途として開発を進めてきた」(カシオ計算機 デジタル絵画事業部 第二開発室 室長 黒澤諭氏)。現在、自動車のシートやインパネ(インストルメントパネル)など内装の試作用途としての引き合いが多いという。その他には、外壁や内壁などの建材サンプル製作、家電の試作、アパレル関連など、幅広い業界や用途で相談を受けているとのことだ。
カシオは2016年11月に、業績不振であった2Dのビジネス向けプリンタの事業からの撤退を発表。以来、プロジェクターなどに経営資源を集約し、システム部門の黒字化を図ってきた。今回の2.5Dプリンタの技術に、同社が培ってきた2Dプリンタ技術が大いに生きている。
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