同製品による造形物の内部には、一番下にホワイトインクの層、その上にカラーインク層が形成される。不透明なホワイトインク層が透明なカラーインク層を透過してきた外光を反射することで、鮮やかな発色が実現するという(以下の図)。
現状の技術では、白で内部を造形して表面にカラー層を乗せていくため、内部でも任意のカラーを表現するような、いわゆる“金太郎アメ”状の形状は作れない。
Adobe Photoshopでミマキのカラーマネジメントソフト「Mimaki Profile Master 3(MPM3)」(オプション)を利用すれば、カラーシミュレートプロファイルを適用することで、PCのモニター上で造形後の色を確認可能だ。
造形モードは高精細、標準、高速の3種類を備える。積層ピッチは、高精細モードが22μm。標準で32μm、高速で42μm。同社の検証によれば、高速モードで解像度が600×300×600dpiの場合、10mm角の立方体の造形が1.2時間、171×184×105mmのドラゴン(竜)のフィギュアの造形が17.9時間、500×500×300mmと造形エリアをフルで使用した造形が137.7時間だとしている。
同社が長年にわたり業務用2Dプリンタで培ってきた波形コントロール技術と高精度なインク吐出技術により、正確にインク着弾させることで、高精細な造形を実現した。同社のバリアブルドット機能により、常に最適なドロップサイズによる造形ができ、粒状感(ざらつき)が少なく、美しいグラデーション表現が可能だという。
造形材料はアクリル系樹脂を採用し、ドリルによる穴あけやタップ加工にも耐え得る強度を確保できる。オーバーコートがかけられるため、表面をより滑らかにし、耐候性を高めることも可能だ。サポート材料は水溶性で、造形後に除去層内の水に漬け込むことで簡単に除去できる。
紫外線の光源にはLEDを採用し長寿命と省電力をかなえる。光源点灯のための起動時間が不要だ。造形時における熱の影響も少なくなるメリットがある。
装置内部でインクを循環させることで、プリントヘッドの顔料の沈殿を防止し、「ノズル抜け」(印刷に白筋が出る)の要因になる気泡も除去可能だ(循環ヘッド)。装置に実装された「NCU(Nozzle Check Unit)」では赤外線センサーを用いたノズルの状態監視を行う。ノズル抜けを検知すると自動でクリーニングを実施する。ノズル状態の確認タイミングは、造形データや時間ごとで設定できる。「造形監視用カメラユニット」では3Dプリンタの動作状況や造形の進捗状況の遠隔監視ができる。
ミマキは長野県東御市に本社を置く、国産業務用インクジェットプリンタやカッティングプロッターの開発元。A0やA1など大判の図面を印刷する国産大型プロッターのメーカーとしてもよく知られてきた。今回の新製品発表プレスカンファレンスでは、同社の業務用UVインクジェットプリンタ「UCJV300/150」と、ラミネーター「LA-140W/160W」についても紹介した。
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