「標準時間」はなぜ必要なのかよくわかる「標準時間」のはなし(2)(2/4 ページ)

» 2017年08月17日 11時00分 公開

2.工場の管理活動と標準時間

 標準時間とは、単位当たりの仕事量の所要時間のことです。ごく簡単にいえば「1つの製品(部品)を加工するのに、どの程度の時間を必要とするか」ということです。ここからは、この「標準時間」が、工場の管理活動でいかに重要なものであるかについて説明します。

2.1 生産計画における標準時間

 生産計画を立案するとき、それぞれの作業にどの程度の時間あるいは日数がかかるのかが分からなくては、生産計画は立てられません。

 生産日程を立案する担当者は、感覚的に「この程度の日数を付与しておけば問題ないだろう」と言い、片や現場のリーダーは、自らの経験では「その日数では終了しないかもしれない」と言い、お互いに、いまひとつ確信が持てていません。このような根拠もあやふやな生産計画では、現場のリーダーは、作業者へどのように作業配分を行えば良いのかと迷ってしまうことになります。

 こういったことが日常的に問題になっている企業は現実に少なくありません。この問題を解決するには「標準時間」を活用しない限り、生産計画担当者と現場リーダーとの議論の結論が出ることなく永遠に続いていくことになります。

 信頼できる生産計画は、標準時間を用いてこそ初めて立案できるものであり、また、各作業者への作業配分も標準時間に基づき行うことにより、より公平で一貫性の高い作業配分が可能となります。この結果として、ほとんどの納期問題の解決につながっていくことになります。

2.2 原価管理における標準時間

 製造原価は、製品の製造過程でいろいろな消費要素が発生し、それらはさまざまに分類されますが、一般的には発生する費用の形で区分した「材料費、労務費、経費」の3要素に区分することができます。この3要素は“原価の3要素”といいます(これに外注加工費を加えて“原価の4要素”という場合もあります)。

 これらのうち、材料費は製品の生産に関して消費される物品の費用をいいます。また、経費は製造原価のうち、材料費、労務費を除く光熱費、厚生費、租税、減価償却費などの原価要素をいいます。

 労務費は、部門別に消費された労働力の費用をいいますが、製造原価における労務費の計算は、当該製品を製造するのに要した作業時間(S.T;Standard Time)に賃率を乗じて計算しますが、具体的には工場の部門ごとに「1分間(または1時間)の作業をするには○○円かかる」という値(賃率、割掛け、加工比率などと呼んでいます)をあらかじめ決めておいて、これに「部品を加工するには△△分かかる」という値(=標準時間)を乗じて求めます。

労務費=ΣS.T×賃率
賃率=(一定期間の予算労務費金額)÷(同一期間における予算作業時間)

 こうして計算された加工費と材料費、経費を加えて製造原価が計算されます。この算出結果によって売価が決定され、損益予算、利益計画などの企業経営の最も重要な事業計画の立案が可能となるわけです。

 加工に要する時間は、いろいろな状況によって変動します。例えば、作業者の仕事ぶりの変化や作業遂行の際に時々発生する遅れ、作業方法の変更などが日々発生するものです。現場のリーダーが、標準時間を正しく理解するとともに、標準時間を指標として加工に要する時間の実績を管理していくことは、加工費の管理によって問題意識を高く持ち、ひいては加工費の低減や原価管理にもつなげられるようになります。

2.3 人員計画における標準時間

 現場を預かる現場のリーダーは、時間とともに変動する作業量に合わせて、人の配置のやりくりを行うために人員計画を立案しなければなりません。この際に、所要人員の算出基準となる標準時間が欠かせません。

 所要人員の算出を、生産台数や売上金額に比例させて計算したのでは、ほとんど正確ではありません。正確な所要人員の算出は、あくまで作業量に比例させて算出すべきで、「1台当たりの加工や組み立てに何分を必要とするか」という標準時間を使用して計算しなければならないことは、既にご理解されていることと思います。

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