日本製紙、東京農工大学、千葉大学は、新エネルギー・産業技術総合開発機構のプロジェクトにおいて、植林木の単位面積あたりのバイオマス生産量を現行法の1.8倍以上に増やす精密林業技術を開発した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本製紙は2017年6月1日、NEDOのプロジェクトにおいて、植林木の単位面積あたりのバイオマス生産量を現行法の1.8倍以上に増やす精密林業技術を開発したと発表した。
日本製紙、東京農工大学、千葉大学は2013年12月〜2017年2月までの約3年間、ブラジルにある日本製紙保有のユーカリ植林地において、バイオマスの収量増を目的とするNEDOのプロジェクトを進めてきた。そこで「林業用土壌センシング」「DNAマーカー育種」「リモートセンシング」の3つの技術開発を行い、これらの技術を活用して植林木のバイオマス増産を可能とした。
林業用土壌センシング技術は、トラクターに土壌センサーを搭載して栄養成分などの土壌情報を効率的に収集し、植林木の成長に適した土地の選択を可能とする。これにより、現行の1.3倍のバイオマス生産量が確保できる。DNAマーカー育種技術は、植林木がもつゲノムを目印に優良木を選抜するもので、同プロジェクトではバイオマス生産量を現行の1.4倍とする選抜に成功した。
両技術を組み合わせると、バイオマス生産量を1.8倍以上(1.3×1.4)に増やすことができ、ユーカリチップ原材料費の44%の削減が期待できるとしている。また、ドローンや3Dレーザースキャナーを用いたリモートセンシング技術により、広大な植林地で高精度なバイオマス量の評価が可能となった。
日本製紙は今回の成果を海外植林地の木質バイオマス生産などに活用し、林業及び木質バイオマスを主要原料とする製造業の発展/強化を目指すとしている。
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