第4次産業革命へ対応するための羅針盤となるビジョン:製造マネジメントニュース
経済産業省は、「第4次産業革命」へ的確に対応するための指標となる「新産業構造ビジョン」を発表した。第4次産業革命後を見据え、4つの分野で2030年代までに目指すべき将来像や戦略、具体化のための方策を取りまとめた。
経済産業省は2017年5月30日、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、人工知能(AI)などの技術が産業を変革する「第4次産業革命」へ的確に対応するため、その指標となる「新産業構造ビジョン」を発表した。第4次産業革命後を見据え、4つの分野で2030年代までに目指すべき将来像や戦略、具体化のための方策を取りまとめた。
同ビジョンでは、現在の日本の強みと弱みを整理し、目指すべき中長期的な将来像(Society5.0およびConnected Industries)をまとめている。その上で、日本が取るべき4つの戦略分野として、「移動する」(自動走行システムなど)、「生み出す、手に入れる」(スマートサプライチェーン、製造現場における高度化と効率化)、「健康を維持する、生涯活躍する」(健康、医療、介護)、「暮らす」(シェアリングエコノミーなど)を設定。各分野について、具体化のための「目標逆算ロードマップ」を定め、具体的な制度改革を見据えた「突破口プロジェクト」をまとめている。
例えば、製造業などでは、データ、AI、ロボットなどの新技術を用いて、サプライチェーン全体に関係するデータを共有する先進システムを構築する。これによって製造・生産現場の高度化や効率化を進め、2%を上回る労働生産性の継続的な向上を目標とした。
さらに、新たな経済社会システムの構築に向けた横断的課題を「ルールの高度化」「イノベーションエコシステム」「経済の新陳代謝システム」「人材育成・活用システム」「社会保障システム」「地域育成・中小企業システム」「グローバル展開」の7つの分野で例示した。
新産業構造ビジョンは、IoTやビッグデータ、AI、ロボットなどの技術革新によってさまざまな構造的課題を解決し、経済成長へとつなげることを目的としている。2015年から議論を重ね、今回正式に取りまとめられた。
4つの戦略分野と新たな経済社会システム構築に向けた横断的課題
戦略4分野の目標逆算ロードマップと突破口プロジェクト
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第4次産業革命にどう立ち向かうべきか。安倍政権における「ロボット新戦略」の核として取り組みを進める「ロボット革命イニシアティブ協議会」で、製造業のビジネス革新をテーマに取り組む「IoTによる製造ビジネス変革WG」が中間とりまとめを公表。日本の製造業の強みである「人」や「現場力」を生かしつつIoTなどを取り込む上での論点をまとめた。
- 第4次産業革命って結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第1回目はそもそもの「第4次産業革命とは何か」を紹介します。
- 第4次産業革命の真の幕開けとなる2017年、カギを握るIoTプラットフォーム
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第3次ブームを迎えたAI(人工知能)。製造業にとっても重要な要素技術になっていくことは確実だ。2017年からは、このAIを製品にいかにして組み込むかが大きな課題になりそうだ。
- ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。
- 第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。
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