車載Linux「AGL」の本格採用を始めるトヨタ、特許リスクも見据えるAutomotive Linux Summit 2017レポート(3/3 ページ)

» 2017年06月07日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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特許リスクも見据えるトヨタ

 初採用事例も公表され、活動が順調に進んでいるAGLだが、村田氏は講演の最後に、今後起こりうる特許リスクについて指摘した。

 Linuxは基本的にオープンソースではあるが、特許関連で訴訟リスクが皆無というわけではない。AGLに関わる多数の特許について訴訟リスクを精査することも困難だ。

 そこでトヨタ自動車は、Linux関連の特許をメンバー間でクロスライセンスする団体Open Invention Network(OIN)にボードメンバーとして参加することとした。村田氏は「OINは、スタートアップから大企業まで2150社以上が参加しており、280万以上の特許ライセンスを保有している」と説明する。

 ただし、OINにおけるLinuxシステムの定義には、AGLやIoT(モノのインターネット)などは含まれていない。そこでトヨタ自動車としては、2018年までにOINのLinuxシステムの定義にAGLを加えるよう提案し、特許リスクを回避できるようにしていきたい考えだ。ボードメンバーとして参加したのも、この提案を通せるようにするためといえるだろう。

OINにおけるLinuxシステムの定義 OINにおけるLinuxシステムの定義には、AGLやIoT(モノのインターネット)などは含まれていない。トヨタ自動車は、2018年までにAGLを加えるよう提案している(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

「レクサスRX450h」を使ったデモも披露

 またトヨタ自動車は、Automotive Linux Summit 2017の会場で、同社のAGL関連の開発成果を示すデモンストレーションを披露した。2017年1月の「CES 2017」で披露した、13インチタッチパネルにユーザーインタフェース画面を表示するデモに加えて、「レクサスRX450h」の制御システムから取得したCANデータを使って、車両状態を示すインジケーターやCANデータモニターを表示してみせた。

AGL関連の開発成果を示すデモの概要デモを参加者に披露する様子 AGL関連の開発成果を示すデモの概要(左)と「レクサスRX450h」の機能と連携する形でデモを参加者に披露する様子(右)(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
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