トヨタ自動車は、次世代のインフォテインメントシステムで車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」のプラットフォームを採用する。北米市場向けの「カムリ」の新モデルを皮切りにレクサスブランドでも採用し、幅広い車種に展開していく。
トヨタ自動車は、次世代のインフォテインメントシステムで車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」のプラットフォームを採用する。
2017年5月31日〜6月2日に東京都内で開催される開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2017」において、北米市場向けの「カムリ」の新モデルにAGLプラットフォームを採用したことを明らかにした。新型カムリ以降もレクサスブランドでの採用を表明するなど、幅広い車種に展開していく。
2017年夏に発売する新型カムリに採用するのは、「開発期間のタイミングが合っていたため。今後、幅広い車種および地域で展開する」(トヨタ自動車 コネクティッド統括部 コネクティッド戦略企画グループ長の村田賢一氏)。
開発した次世代インフォテインメントシステムのうち、AGLのコードが70%を占めており、カスタマイズや既存のソフトウェア資産は30%にとどまった。
村田氏は開発期間をどの程度短縮できたかは明言しなかったが、AGLは3年かかる車載情報機器の開発期間を1年に短縮することをうたっており、開発の効率化が図れたものとみられる。
カムリに搭載するインフォテインメントシステムについては、2017年6月下旬に詳細を発表する。新型カムリのインフォテインメントシステムに用いられているAGLは、2016年1月に発表されたUCB(ユニファイドコードベース)1.0の仕様要件を満たすものになっているという。「新型カムリの開発は2016年1月以前に始まっている。つまり開発当初はUCB1.0は存在していなかった。しかし、新型カムリのインフォテインメントシステムを開発する上で得られた成果をUCB1.0に還元しており、UCB1.0の仕様要件を満たしている」(村田氏)という。
同日、最新バージョンとなるUCB4.0のリリースが発表されたが「量産モデルに採用する時期はまだ分からない。しかし、デモを見てもらえば分かるように、そのまま使えるレベルまで進化してきている」(村田氏)。なお、UCB4.0の最終版は2017年7月22日にリリースする。
トヨタ自動車は、2012年9月に結成されたAGLに参画し、車載情報機器向けLinuxプラットフォームの開発に注力してきた。AGLの上位メンバーには日系企業が多いが、Ford Motor(フォード)やDaimler(ダイムラー)など欧米自動車メーカーや、Continental(コンチネンタル)やHarman International Industries(ハーマン)といったサプライヤーも参加している。オラクルやSAPといったIT企業もメンバーとして加わっている。
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