Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクトであるAutomotive Grade Linux(AGL)は、新しいLinuxディストリビューションを開発した。Yocto Projectがベースになっており、TizenやGENIVIなど既存のオープンソースプロジェクトの最良のソフトウェア部分を利用している。
Linux Foundationは2016年1月5日、Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクトAutomotive Grade Linux(AGL)が新しいLinuxディストリビューション(以下、AGLディストリビューション)を開発したと発表した。AGLは2015年6月に車載情報機器向けの要求仕様書を公開しており、今回のディストリビューションはそれに基づくものとなっている。
AGLは2014年まで「Tizen IVI」をリファレンスとしていたが、2015年から方針を転換。ユニファイドコードベース(UCB)と呼ぶ、Yocto Projectベースにした新しいディストリビューションを開発する方針を打ち出していた。UCBでは、これまでのTizen IVIを使って得た知見や、AGLと協調して活動してきたGENIVIアライアンスの成果など、既存のオープンソースプロジェクトの最良のソフトウェア部分を利用している。
開発基盤は、Gitコードリポジトリ、Gerritコードレビュー、Jiraバグ・イシュートラッキングなど完全なオープンソースで、Jenkinsによる継続的インテグレーション(CI)も行われる。ユーザーインタフェース(UI)のフレームワークはQtをサポートする。
デモアプリケーションとしては、ホームスクリーン、メディアブラウザ、HVACコントロール/ディスプレイ、AM/FMラジオ、カーナビゲーションなどを用意。Microchipの協力により、車載LAN規格であるMOSTのデバイスドライバもオープンソースで提供される。
AGLディストリビューションに対応する開発ボードは、ルネサス エレクトロニクスの「R-Car M2」を搭載する「Porter」と「R-Car E2」を搭載する「SILK」、Intel(インテル)の「Atom E3800シリーズ」を搭載する「MinnowBoard MAX」など。今後サポートする開発ボードの数を増やしていくとしている。
なお、AGLのメンバーである、トヨタ自動車、アイシン・エィ・ダブリュ、デンソー、富士通テン、Harman(ハーマン)(、パナソニック、パイオニア、ルネサス エレクトロニクスなどは、AGLディストリビューションを用いた車載情報機器や関連サービスを提供する計画があるという。
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