Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」に関する開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2016」に登壇したトヨタ自動車の村田賢一氏は、「AGLの活動はうまくいっているが、これで満足していない」と語り、新たな活動についての提案を行った。
Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」の開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2016」が、2016年7月13〜14日にかけて東京都内で開催された(主催:The Linux Foundation)。
1日目の基調講演に登壇した、トヨタ自動車 コネクティッド統括部 BRコネクティッド戦略企画グループ長の村田賢一氏は「AGLの活動はうまくいっているが、これで満足していない」と語り、AGLの活動をビジネスにつなげるための新たな方策について提案した。
村田氏の講演タイトルは「AGL Spec, UCB, and What is next?」。前回の「Automotive Linux Summit 2015」でも講演した同氏は、AGL、「Tizen IVI」、「GENIVI」という3つの組織に分散している開発体制の一本化を提案した(関連記事:車載Linux開発に注力するトヨタ、課題解決に向け開発体制の一本化を提案)。この提案を形にしたのが、2016年1月に発表された、ユニファイドコードベース(UCB)と呼ぶ新たなディストリビューション「AGL UCB」である(関連記事:車載Linuxのオープンソース活動はアップルとグーグルへの対抗軸に成り得るか)。
AGL UCBは2016年1月発表のバージョン1.0から、今回のAutomotive Linux Summit 2016に合わせてバージョン2.0を発表するなど、開発が軌道に乗ったかのように見える。村田氏も、今回の基調講演の冒頭で「UCBをコンセプトとしたAGLの活動はうまくいっている」と語る。
しかし、続けて投げかけたのが「せっかくできたAGL UCBから、何がもらえるのか。実ビジネスにつなげるにはどうすればいいのかが課題だ」(村田氏)という言葉だ。AGL UCBのコンセプトでは、車載情報機器などに用いられるソフトウェアのうち非競争領域に当たる70〜80%をオープンソースプロジェクトであるAGLで策定することになる。これにより、自動車メーカーやティア1サプライヤの開発負担は大幅に削減できるはずだ。
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