こうした構成により、現在のAzure IoTが提供する機能はアマゾンのAWS IoTなどと比較しても全く遜色のないレベルのものになっている。こちらのAWS IoTに関する記事で、「付け加えれば、2015年3月にマイクロソフトが発表している『Azure IoT Suite』を意識していることは間違いないだろう」と書いたが、逆にマイクロソフト側がAWS IoTに対抗して欠けている部分を全部補ってきたのが現在のAzure IoT Suite(とAzure IoT Hub)である、といったところだろう。
ここで冒頭の話に戻ると「Build 2017」で発表されたのがAzure IoT Edgeである。端的に言えば、これはエッジノードに対してアプリケーションをクラウド側から配布できるようにする仕組みである。アプリケーションというか環境は、Dockerイメージとしてパッケージングしておき、これをAzure IoT Edgeからエッジノード上のDockerコンテナホストにデプロイし、すぐに実行できるようにするというもので、監視機能なども同時に提供される。こうした形でより利用しやすい環境を提供しようとしている。
ただし、アマゾンになくマイクロソフトにある強みは、クラウドサービスそのものというよりは、やはりWindows 10 IoTである。こちらも着々と強化されており、例えば2017年4月に行われた「Creators Update」では、MA(Media Agnostic)-USB(メディア非依存USB)を利用してワイヤレス接続でUSB機能を使うといった具合に製品の差別化につながる機能強化が実現している。
なんというか、かつてはWindows 10 IoTの普及のためのAzure IoTだったのが、今ではAzure IoT普及のためのWindows 10 IoTというように位置付けが逆転している感もあるが、本来のIoTの普及のためにはおそらくこの方が正しいアプローチなのだろう。
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