「Windows Embedded」から「Windows 10 IoT」へと刷新されたマイクロソフトの組み込みOS。プレビュー版の提供開始から1年近くが経過し、ようやくその全貌が見えてきた。連載ではWindows 10 IoTの「今」をエンドデバイスとともに確認していく。
モノづくりの現場では、組み込み系Windows OSとしてWindows Embeddedシリーズを使ってきた方も少なくない。なかにはWindows CE時代をご存じの方もおられるだろう。だが、Microsoftの「One Windows」ビジョンに伴い、組み込み系OSは「Windows 10 IoT」という名称に変更された。
他のWindowsファミリーと同じくWindows 10 IoTも用途によって異なるエディションで構成され、最上位にあたる「Windows 10 IoT Enterprise」はWin32デスクトップアプリまでサポートする。
本連載のターゲットとなるのは、シェル(エクスプローラー)を備えず、IoTゲートウェイやスマートホーム向けコントローラーなどの用途に適する「Windows 10 IoT Core」だ。まずは現状について説明したい。
ちまたでは今夏リリース予定の、Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)に伴う大型アップデートが注目を集めているが、執筆時点(2016年7月上旬)のWindows 10 IoT Coreは「バージョン1511」と「Insider Preview」が選択可能だ。
PC版およびモバイル版のWindows 10 Insider Previewは急速にビルドアップを繰り返しているが、Windows 10 IoT Coreはそこまで急なビルドアップは行われていない。恐らくカーネルなどのコアコンポーネントや、I/O周りの変更時に更新しているのだろう。推測の域を超えないが、Windows 10 バージョン1607リリース時は、Windows 10 IoT Coreも更新されるはずだ。
さて、今回はRaspberry Pi 3に「Windows 10 IoT Insider Preview」をインストールする(バージョン1511ではない理由は後述)。まずはハードウェア面だが、意外と準備するものが多いので、あらかじめ手持ちのパーツをかき集めるか、ECサイトなどで購入しておこう。Raspberry Pi 3を稼働させるには、以下のデバイスが最低限必要となる。
さらにWindows 10 IoT Coreを展開するためのMicro SDカードリーダー/ライターや、Windows 10 IoTの基本的なセットアップを行うために、USB接続のキーボード&マウスも必要だ。
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