マイクロソフトの「Windows Embedded」シリーズが「Windows 10」投入に合わせ、「Windows 10 IoT」シリーズへと一新される。「Windows 10 IoT」シリーズは現在3製品が用意され、幅広い組み込み機器をサポートする。
マイクロソフトが提供する組み込み機器向けOS「Windows Embedded」シリーズが今夏の「Windows 10」投入に合わせ、「Windows 10 IoT」シリーズへと一新される。
米Microsoftが2015年3月に開催したイベント「Convergence 2015」ならび「WinHEC 2015」にて、同社の新たな組み込み機器向けOSの概要が明らかにされた。Windows 10の投入に合わせ、組み込み機器向けOSについても「クラウド連携」「IoT」「Windows Universal Application」などを軸にした大幅な刷新が行われることになる。
組み込み機器向けOS「Windows Embedded」シリーズは「Windows 10 IoT」シリーズが後継として登場し、Windows 10 IoTについては、「Windows 10 IoT for industry devices」「Windows 10 IoT for mobile devices」「Windows 10 IoT for small devices」の3製品が投入される。
「Windows 10 IoT for industry devices」はx86ベースのプロセッサでのみ動作する、デスクトップシェルを持つOSで、Win32アプリも動作する。開示されている情報を見る限り、Windows Embedded 8.1 Industry/Proに近い位置付けだ。
「Windows 10 IoT for mobile devices」はWindows Embedded Handheldの後継と位置付けられており、モダンシェルを有し、ARMプロセッサで動作する。Windows Embedded HandheldはWindows Phone 8.1をベースとしたOSで、パナソニックの業務用ハンドヘルド端末「TOUGHPAD FZ-E1」(関連記事:特定領域の特化で差別化、パナソニックのビジネス“タフ”タブレット戦略 )に採用されている。
「Windows 10 IoT for small devices」は2014年4月に開催されたイベント「Build 2014」では「Windows on Devices」として紹介されていたもので、x86あるいはARMプロセッサで動作する。シェルは有さず、これまでWindows Embeddedシリーズがターゲットとしていなかったインテル「Edison」など、より小型のデバイスを対象とするものとみられる。
また、同社ではこれら組み込みOS搭載デバイスとクラウドサービス「Microsoft Azure」との連携を強化する「Azure IoT Suite」の投入も発表している。Azure IoT SuiteではIoTデバイスとクラウドを連携させ、決済や監視、分析などを行うツールが提供される予定だ。
ConvergenceならびにWinHECでは「Windows 10 IoT」ならび「Azure IoT Suite」については概略が発表されたに過ぎず、今夏のWindows 10正式発表に向け、「de:code」といったイベントや公式ブログなどを通じて詳細が明らかになるものとみられる。
なお、同社では組み込みOS「Windows Embedded」シリーズについて15年間の長期供給を約束しており、2013年10月に提供開始されたWindows Embedded 8.1 Industryならばサポートは2023年7月まで、ライセンスは2028年4月まで提供される。
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