ソニーのLPWAはテレビチューナー技術がベース、富士山から奈良まで通信が届く:ESEC2017&IoT/M2M展
ソニーは、「第6回 IoT/M2M展」において、独自開発したLPWAネットワーク技術をアピールした。現時点では、各地で実証実験を実施している段階で、正式なサービス開始時期は検討中。ブランド名なども決めておらず「Sony's LPWA(ソニーのLPWA)」と紹介している。
ソニーのLPWAの実証実験成果(クリックで拡大)
ソニーは、「第6回 IoT/M2M展」(2017年5月10〜12日、東京ビッグサイト)において、独自開発したLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク技術をアピールした。現時点では、各地で実証実験を実施している段階で、正式なサービス開始時期は検討中。ブランド名なども決めておらず「Sony's LPWA(ソニーのLPWA)」と紹介している。
IoT(モノのインターネット)の通信では、通信速度よりも、消費電力やコストを抑えることが求められる。そこで注目を集めているのがLPWAネットワークであり、有力技術としてはSIGFOXやLoRa、NB-IoTなどが挙げられている。
ソニーのLPWAはこれらの有力技術とは異なるものだ。テレビチューナーの技術を基に開発しており、見通しで100km以上の距離からでも通信が可能で、時速100kmの移動体との通信も安定して行える「安定な長距離通信」を特徴としている。
ソニーのLPWAの通信距離。オレンジ〜赤色の四角で示した場所から、東京スカイツリーをはじめ3カ所に設置した実験用基地局へのデータ送信を確認した。オレンジ〜赤色の四角がない場所は、通信できなかったのではなく、確認作業を実施できていないエリアになるという(クリックで拡大)
展示では、奈良県の日出ヶ岳から富士山の五合目まで274kmの長距離通信が可能だった実証実験の結果を示した。SIGFOXやLoRaの通信距離は数kmといわれており、まさに桁が違う。「ソニーのLPWAに必要な受信機の数は、携帯電話と比べてもはるかに少なくて済むだろう」(ソニーの説明員)。
消費電力も小さく、1日に1回位置データを送信する用途であれば、コイン電池1個で10年間動作させられるという。
使用周波数帯は920.6M〜928.0MHzで、38チャネルのうちの1チャネルを使用する。通信速度(実転送レート)は80bps。通信方向は一方向で、双方向通信への対応は検討中だ。
ソニーのLPWAにおける、ソニーのビジネスモデルは、IoTデバイスに搭載する半導体チップの販売が中心で、これに加えてIoTデバイスの通信を管理するのに必要なサーバの利用料も徴収する予定だ。また、顧客が自社所有を望む場合には受信機の販売も行う。
ソニーのLPWAの実証実験で用いられている送信機と受信機(クリックで拡大)
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